熟年不倫に走る理由と対策

近年、40・50代の中高年による不倫が増えているといわれています。いわゆる「熟年不倫」で、20・30代の若い世代の不倫とは異なる事情があるようです。どのような理由から中高年は、不倫に走るのでしょうか。
今回は、熟年不倫の実態や熟年者が不倫に走る理由・対策について解説していきます。
熟年不倫とは?
熟年不倫とは、40・50代の中高年の男女による不倫を指します。ここでは、熟年不倫の実状や背景について紹介します。
熟年不倫の実態
一般的には、年齢とともに夫婦での性生活が減少していく傾向にありますが、40・50代の中高年による熟年不倫が増加傾向にあります。
相模ゴム工業株式会社は、2018年10月に47都道府県の20~60代男女1万4千人を対象に実施したインターネット調査「ニッポンのセックス 2018年版」を発表しています。
調査結果によると、特定の1人と不倫をしている男性の割合は、20代(21.1%)、30代(18.6%)、40代(17.7%)の順番で多いことが分かっています。また、複数の相手との不倫では、40代(6.0%)、50代(5.3%)、30代(4.7%)の順番でした。
一方で、特定の1人と不倫をする女性の割合は、30代(15.7%)、40代(14.7%)、20代(14.4%)の順番で多く、複数の相手との不倫をする人の割合は、30・40代(1.3%)が同率で、次いで20代(1.1%)が多いことが分かりました。
データ出典元:相模ゴム工業株式会社「ニッポンのセックス 2018年版」
このデータは、結婚している人以外も含まれているので、すべてが不倫に結びつきませんが、大枠では結婚している人も似たようなデータになると予想すると、女性よりも男性のほうが不倫する割合が高く、40・50代においても不倫する人がいることが分かります。
では、中高年が不倫に走るのには、どんな背景があるのでしょうか。
熟年不倫が増えている背景
TV番組やネット上で「熟年不倫」という言葉を聞く機会が増えているように、熟年不倫をする人が増えています。背景には、主に次の三つがあげられます。
一つ目は、インターネットの普及です。メールやSNSなどの活用により、いつでもどこでも不倫相手との連絡がしやすい環境が整っています。1人1台は携帯電話を持っていることが当たり前の時代です。
パートナーに隠れて、こっそり連絡を取り合う手段は確実に簡単になったことが熟年不倫のみならず、浮気、不倫の後押しとなっていると言えます。
二つ目は、不倫への罪の意識が薄れてきている点です。TVでは有名人が不倫をしたという報道も多いですし、ネット上でも意見は様々ですが、中には不倫を擁護する意見もあります。そのため、世間の不倫に対する考え方も変わってきており、不倫が身近に感じることも要因でしょう。
三つ目は、パートナーへの長年の不満があげられます。数十年一緒に過ごす中で、パートナーに対する不満が積もった結果として、不倫に走ってしまう人が多いです。
これら3つが重なって、熟年不倫が増えていると考えられます。
熟年離婚も増加中
熟年不倫の末に離婚をする人も少なくありません。不倫がバレたから離婚するというよりは、「離婚してもかまわない」というように離婚という結論も見据えて不倫する人もいるようです。
現に、熟年夫婦が夫の定年退職を機に離婚に踏み切るケースが多いです。離婚すると強いバッシングを受けていた時代と異なり、離婚も選択肢の一つとして社会に受け入れられつつあります。
そのため、熟年夫婦にとっても離婚することのリスクは減りつつあるといえます。そういう意味では、熟年不倫をする人にとって、現在の生活を失うリスクも減りつつあるといえるでしょう。
熟年不倫と一般的な不倫との違い
熟年不倫と年齢層が下の人がする一般的な不倫では、いくつかの違いがあります。それらの違いをご紹介します。
デートにお金をかけられる
一般的な不倫では、子どもの教育費にお金がかかったり、毎月のお小遣いに限りがあったりと、不倫相手とのデートにお金をかけられないことも多いです。
一方で、熟年不倫では子どもは自立し、金銭的な余裕があるため、デートにお金をかけられます。たとえば、食事や旅行先など高級感ある場所を選ぶ傾向にあります。
不倫期間が長くなりがち
一般的な不倫は性欲を満たすためであることが多く、一夜限りの関係を結ぶことも多いです。一方で、熟年不倫は性欲だけでなく、心のやすらぎを求めていることも多いため、不倫関係が長期に及びやすいといえます。
不倫相手による精神的な支えが強くなることで、最終的には熟年離婚にまで至るケースもあるのです。
大胆で隠ぺい工作をしない
一般的な不倫はSNSやメールなどの扱いにも慣れており、不倫の隠ぺい工作をする人も少なくありません。その点、熟年不倫では年齢的にも警戒心が薄くなりがちな上、バレて離婚になってもかまわないという意識もあり、隠ぺい工作をしない人も多いです。
不倫していることを隠そうとしない人が多いため、熟年不倫はバレやすいという特徴もあります。
熟年不倫をするきっかけ
中高年が不倫をするきっかけは、若年層の不倫とは違うきっかけが存在します。どのようなきっかけがあるのか、いくつかご紹介します。
新たな生きがいを求め始める
中高年になると、定年退職や子どもの自立などにより、これまで力を注いできたものが無くなり、家庭や社会での生きがいを失ってしまいます。
そんな中、趣味や習い事、同級生との再会など外に出ようと意識が働き、生きがいを探す中で、異性との出会いが新たな生きがいとなることがあります。
ささいなことでも刺激に感じる
また、変化のない毎日が退屈だと感じた人が、ささいな出会いや優しさに触れると、不倫に走ることもあります。たとえ、最初はそのつもりがなくても、新しい世界に連れ出してくれるような異性に自然に惹かれてしまうこともあります。
パートナーとのセックスレスに悩んでいる場合には、性的な刺激や忘れかけていたときめきを求めて不倫に走る人もいます。
長年、結婚相手と同じ日常、性生活を過ごしてきた中で、我慢することも多くなるのが結婚生活です。その中に、ささいな刺激があると不倫に走ってしまう場合があります。
時間や金銭的な余裕ができた
子育てが一段落すると、子どもに充てていた時間やお金に余裕がでてきます。その余裕から熟年不倫につながることもあります。子どもに尽くして自分のことは後回しにしてきた人は、子どもの自立によってできた時間やお金を自分に使おうとします。
たとえば、洋服や髪型など見た目にお金をかけたり、行ったことがない場所に行ったりすることで、新たな人間関係が築かれて熟年不倫のきっかけになることがあります。
仮面夫婦
仮面夫婦であることも熟年不倫のきっかけになります。仮面夫婦の場合、家庭外では理想的な夫婦を演じていますが、夫婦関係は破綻しており、離婚することも関係を改善することもしません。
夫婦でありながらも、お互いに決め事以上に求めることはありません。仮に、パートナーの不倫に気づいたとしても、夫婦関係に支障をきたさない限りは、もしかすると、干渉しないこともあるでしょう。
家庭内別居
家庭内別居も熟年不倫のきっかけです。お互いに、同じ屋根の下で住む同居人という感覚をもち、法律上だけの夫婦といえます。すでに別居状態のため、お互いの生活に干渉することはありません。
どこで誰と何をしていようがパートナーのことには一切関与しないことから、熟年不倫に走る人も多いのです。パートナーに欠落している部分をほかの人で補おうとする人もいることでしょう。
介護疲れ
中高年の現実の問題として、親の介護による負担があげられます。自分自身の体力も衰えていく中で、肉体的にも精神的にも疲れてしまう人が少なくありません。
とくに、パートナーや親族など介護への協力者がいない人や自宅での介護を選択すれば、逃げ場がなくなってしまいます。
そして、追い詰められてしまい、ふとしたときに優しく労わってくれた人と不倫に走ってしまうのです。
パートナーからの暴力
パートナーから暴力を受け続けることが不倫のきっかけになることがあります。暴力といっても肉体的なものだけとは限りません。
家政婦のような扱いやATM代わりといったように弱い立場を強いられることで、精神的な暴力を受ける人もいます。その場合、ほかの異性に精神的な支えを求め、結果的に不倫に至ってしまうのです。
年下の異性にひかれる
結婚当初は美しい妻、かっこいい夫でも、月日とともに容姿は衰えてくるものです。パートナーを異性として見られなくなり、年下の異性にひかれてしまうケースも少なくありません。
若い人の中には、年の離れた異性を好む人もおり、出会った結果、不倫に至ることもあります。
中でも、パートナーとの性生活に満足していない場合、若くて活力のある年下の異性に目がいきやすくなります。
熟年不倫をした場合のリスクとは?
考えられるリスクの一つとして、高額な慰謝料を請求されて老後の生活が困窮する可能性があります。若い世代であれば、働きながら貯蓄を増やしていけますが、定年退職後に新たに職を探そうと思っても難しいものです。
また、不倫によって子どもや孫との関係に支障がでる可能性もあります。不倫をしたという事実が家族を傷つけてしまうかもしれません。
熟年離婚に及んだ場合、生活の変化についていけなくなる可能性も考えられます。たとえば、家事が一切できない、慰謝料の支払いで老後の生活費が確保できないなどです。離婚してもかまわないと思っていても、実際は生活に支障をきたすこともあります。
熟年不倫をしない・させないための対策
では、自分が熟年不倫をしない、パートナーに熟年不倫をさせないための対策はあるのでしょうか。
対策として、夫婦間の会話を増やし、コミュニケーションをとることが大切です。
そのために、共通の趣味をもったり、旅行に出かけたり、楽しいことをお互いに共有しましょう。2人で難しいと感じた際は、夫婦で参加できるカウンセリングを受けるのもひとつの手です。
お互いが良き話し相手であり、良き理解者であるようにコミュニケーションを取ることで、ポジティブに関わり合いが自然とできるはずです。そうすると、不倫のきっかけがあっても、理性が働き、不倫を止めることができるでしょう。
また、テクニックとしては、自由に使えるお金を多めに与えない、不倫して子どもや孫を傷つけることを思い浮かべさせるのも手です。
家庭における居場所をつくり、いい夫婦関係を維持する努力をして、不倫のリスクをそれとなくイメージさせることが、熟年不倫をしない、させない対策で重要です。