仮面夫婦とは?離婚しないことでのメリット・デメリット

熟年離婚カップル

現在社会において、「夫婦」の形は多様化しています。

3組に1組が離婚しているのが現実ですから、「離婚はしないけれど婚姻関係は継続させている」という離婚一歩手前の夫婦も決して少なくありません。

しかし、愛が冷めながらも「夫婦」としての体裁を保つとなると、どうしても不自然が生じてきます。そんな不自然さのひとつの形が、「仮面夫婦」。

では仮面夫婦とはどのようなものでしょうか。仮面夫婦の特徴と共に、その実態に迫ります。

そもそも「仮面夫婦」って何?

「仮面夫婦」とは、その名の通り仮面を被った夫婦のことです。では、何の仮面なのか?それは、「笑顔」の仮面。

「あの奥さん、いつもニコニコして幸せそうだな」と感じる方が、ご近所にいませんか? もしかしたらそれは、「仮面」かもしれません。本心ではパートナーへの愛情は無くなっているとしても、笑顔で過ごすことで、円満家庭を演出しているのです。

よく「家庭内別居」と混同されがちですが、「仮面夫婦」とは似て非なるもの。どちらも「愛はないが一つ屋根の下で生活している」ことに変わりはないのですが、家庭内別居はそもそも生活動線を別にしているので、パートナーに笑顔を向ける必要がありません。それに対して仮面夫婦は、生活動線は同じで笑顔の仮面をつけているので、一見して普通の家庭と同じです。場合によっては、「あのご家族、いつもとても幸せそうね」と、普通の家庭よりも良く映るかもしれません。

仮面夫婦の具体的な特徴

では「仮面夫婦」は、一般的な夫婦と具体的にどこが異なっているのでしょうか。

相手に関心がない

仮面夫婦は、パートナーに対する関心がありません。「今日仕事の後に飲みに行ってくる」と夫が伝えても、「はーい」で終了。

もし、パートナーに少しでも興味があるなら、「どの店に飲みに行くの?」「誰と行くの?」「帰宅は何時くらいになるの?」「その飲み会には女の子も参加するの?」など、質問事項は尽きないはず。しかし興味がないと、質問さえも特にありません。

関心がなくても、愛がなくても、それを隠して笑顔。これが、仮面夫婦の特徴です。

会話が事務連絡のみ

楽しいこと、悲しいこと・・・。夫婦が顔を合わせた際には、「ねぇねぇ聞いて!今日こんなことがあったのよ」なんてつい雑談を持ち掛けたくなるものです。

しかし、仮面夫婦には、そもそも楽しく談笑をしたいという気持ち自体がありません。「〇月〇日、△時から自治体の集金に来るって」「〇日に授業参観があるから用意しておいて」など、話しかけるのは事務的な用事があるときだけ。

「離婚はしないけれど私はあなたと楽しく会話したいとは思っていません」という意思表示をするかのように、仮面夫婦は事務連絡くらいしかコミュニケーションを取りません。

仮面夫婦になるきっかけとは?

どんな夫婦も、結婚した当初は、まさか自分たちが後に仮面夫婦になるなんて考えてもいなかったでしょう。

仮面夫婦になるには、何かきっかけがあったはず。では具体的な、どのようなことがきっかけだったのでしょうか。

相手に愛情がない

最も多いパターンは、単純に「愛情がなくなったから」ではないでしょうか。もし、パートナーに対して愛情があれば、自然と仲睦まじく寄り添えるはずですから。

これが独身男女の恋愛であれば、「もう好きじゃなくなったから別れよう」と切り出せるところですが、婚姻関係にある以上は関係を簡単に解消できません。

そのため、愛はなくなっても、体裁として「家族」の形を繕い続けるのです。

生活スタイルが違う

また、生活スタイルの違いも、いつのまにか仮面夫婦へのきっかけになることがあります。

例えば、あなたは日勤、パートナーは夜勤。顔を合わせる頻度が少ないにも関わらず、お互いにその穴を埋めようとしないと、「あの人にとって私はどうでもいい存在なのね」と割り切った気持ちで生活するようになります。

生活スタイルは、仕事の関係で、どうにも自分では都合が付けられないときもあります。それは仕方のないことですが、その「埋め合わせ」をしない夫婦が、仮面夫婦へと移行するのかもしれません。

価値観が違う

人間誰しも、自分なりの価値観を持っています。

自分が「好き」と感じたものに対して、相手も「好き」と感じる。自分が嫌いなことは、相手も同じように嫌がる・・・。このように、二者が同じモノに対して同じように反応できれば良いのですが、現実問題そうはいきません。

「私は綺麗な部屋じゃないと落ち着かないのに!なんで服を床に脱ぎ散らかすの?」なんて相手の行動に苛立ちを感じたり、「私はドキュメント番組が観たいのにバラエティーばかり!」と、食事のときのチャンネルを不満に思うこともあるでしょう。

他人から見れば些細なことでも、当事者たちにとっては「チリも積もれば・・・」です。そして、積もったチリの分だけ愛情も冷えていく、といっても過言ではないでしょう。

友人にしても恋人にしても、それぞれ価値観が違うからこそ、それが個性となり付き合いに面白さが生まれます。しかし「人間」と「人間」が、ひとつ屋根の下でまったく同じベクトルを向いて過ごすのは、なかなか難しいのかもしれません。

相手の浮気

パートナーの浮気がきっかけになることもあります。「浮気をするなんて信じられない!離婚よ!」と思っていても、子どもが「パパだいすき♪」なんて無邪気な笑顔を向けていたら、無下に引き離すわけにもいかなくなります。

また、ご近所の奥様方から「あの奥さん、旦那さんの浮気が原因で離婚したらしいわよ」など好奇の目を向けられたくないために、「いつもと変わらない平穏な家族」を装うこともあります。

原因がなんであれ、感情ひとつでスパッと別れられないのは、独身時代と違う厄介なところといえるでしょう。

結婚後の相手の変化

「こんなに素敵な人は世界中のどこを探してもいない」と、相手に魅力を感じて結婚に至ることがほとんどです。しかし、その魅力は、永遠に続くものであるかというと、決してそうではありません。

「結婚前の夫はスリムで引き締まっていたのに、今はビール腹が目立って嫌だわ」「転職してからというもの、『仕事行きたくない』とか上司の愚痴ばかりでウンザリする」「休日には必ずデートに連れていってくれたのに、今では昼過ぎまでダラダラ寝て部屋から出てこない」・・・など、結婚後にパートナーが変化することで気持ちも変化することは珍しくありません。

けれどそのほとんどは、離婚理由として決定的なものではないため、「私が我慢すればいい話か・・・」と、ため息をつきながらも笑顔の仮面をつけて過ごすようになるのです。

セックスレス

離婚事由の一つとして「セックスレス」が通用するほど、夫婦の営みは結婚生活になくてはならないもの。しかし、現在の日本では、セックスレス夫婦が増加しているといわれています。夫婦といえど所詮は男と女ですから、様々な感情でレスになってしまうのは、ある意味で仕方がないことです。

「仕事で疲れていてそんな気にならない」「出産したら夫のことを男性として見られなくなった」など、セックスレスになる背景も様々でしょう。

「パートナーに指1本触れられるのも嫌」と感じるようになったら、それは仮面夫婦の始まりです。どちらかが拒めば、求めたほうは不満を抱きます。それが重なれば、心の距離が離れていくのも無理はありません。

仮面夫婦が離婚をしないことでのメリット

他人からすると、仮面夫婦に対して「無理して結婚生活を続けるくらいなら早く離婚すればいいのに」と感じることもあるでしょう。しかし、仮面をかぶってでも結婚生活を続けているのには、理由があります。

生活を助け合える

仮面夫婦といえど、住んでいる家は同じ。そのため、生活を助け合えるというメリットがあります。

一人暮らしとなると、仕事だけではなく、家の掃除や、食材の買いもの、夕飯の準備、雑用などをすべて一人で請け負わなければなりません。しかし共同生活をしていれば、パートナーの働きが期待できるため、生活面はもちろん経済面でも大きく負担は減ります。

夫からしてみれば、帰宅したら夕食が用意されていて部屋も片付いているというのは、とてもありがたいこと。また妻の立場でも、夫の収入は家計の大きな支えになるはずです。

また子どもがいる場合、幼ければ幼いほど、一人きりの育児は肉体的にも精神的にも辛いもの。異性としての愛はなくなっても、パパ(ママ)として育児を手伝ってほしい、という側面もあります。

世間体が良い

また、夫婦が両方揃っていることで、世間体が良いという側面もあります。離婚をすると、ご近所から「あのご夫婦、離婚したそうよ」なんて噂が立つのは、どうしても避けられないことでしょう。また子どもの受験では、父母が両方揃っていないと不利になることもあります。

世間体を気にする家庭ほど、仮面をかぶってでも「家族」の形を保とうとするのかもしれません。

金銭面で優遇措置がある

配偶者がいると、金銭面で様々な優遇措置を受けられます。

例えば、年末調整での配偶者控除をはじめ、映画館での夫婦割、扶養に入りながら働けるなど、独身者にはない金銭的メリットが多くあります。婚姻関係を解消すると、一切なくなってしまいます。

「お金さえあれば今すぐにでも離婚したいのに・・・」と思いながら実行できない夫婦が多いのは、このような高待遇を手離したくないから、という背景があるのかもしれません。

仮面夫婦が離婚をしないことでのデメリット

「離婚をせずに家族のままでいる」ということにメリットも感じる仮面夫婦ですが、そもそもベースが「愛情の欠如」のため、離婚をしないという選択肢が時にデメリットにもなります。

いつまでも新しい恋愛ができない

いくら会話がなくても、いくら愛が冷めきっていても、他に恋人を作ればそれは「浮気」です。婚姻関係を解消しない以上は、どんな理由であっても、新しい恋愛はご法度です。

異性からアプローチを受けても、それを断り、愛のない家庭に戻っていくのはかなり辛いことでしょう。離婚をしない限りは、いつまでも「現状維持」だと覚悟しておかなければなりません。

状況によっては子どもに悪影響

「パートナーへの愛はないけれど、子どものために離婚はしない」と決めている夫婦はたくさんいます。今すぐにでも別れたい気持ちを押し殺してでも、大事な子どもの気持ちを最優先させるのは親としてとても素敵なことです。

けれど、状況によっては子どもにとって悪影響となることも覚えておきましょう。

子どもの前で、夫婦が互いを避け、会話も避けていたら、明らかに不自然です。「あなたのためを思って離婚しないのよ・・・」と伝えたところで、子どもは「笑顔のないママを見ているのは僕だってつらいよ」と落ち込むかもしれません。それどころか、「僕がいるせいで、ママが幸せになれないんだ」と自己嫌悪に陥ることも考えられます。

家庭があまりにギスギス・ピリピリした空気なら、いっそのこと離婚したほうが全員が幸せになれるかもしれません。事実、「離婚してすっきりした!」と第二の人生を謳歌しているバツイチ男女は多く存在しています。

互いの存在がいつも気になる

仮面夫婦は、できるだけパートナーとの会話の機会を減らそうとします。なぜなら、そもそも会話をしたくないうえ、できれば同じ空間にもいたくないからです。

ですから仮面夫婦は、常にお互いの行動を気にしなければなりません。例えば一階に用事があっても、「玄関から物音がするわ。きっともう少し待ったら旦那が外出するんじゃないかしら」と、顔を合わさずに済むタイミングを常に狙っているのです。

愛のない相手と同居するにあたり合理的な方法ではありますが、いつでも互いの動線を考えながら行動をしなければならないので、ストレスも大きいはずです。

好きなときに、好きな行動がとれない。この不自由さが一生続くのか・・・と考えたときに、夫婦のあり方や将来について見直す方が多いようです。

まとめ

仮面夫婦の特徴や実態、そして離婚しないことでのメリット・デメリットをご紹介してきましたが、いかがでしたか。

様々な要因が複雑に絡み合う「仮面夫婦」。別れたくても別れられず毎日生活を共にしなければならないというのは、大変なストレスでしょう。

しかし「一度結婚したら離婚は厳禁」というルールはありません。仮面夫婦を一生続けるよりも、離婚したほうが幸せをつかめるケースは多々ありますので、タイミングを計らいながら今一度立ち止まって考えるのも悪くはないでしょう。

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