いじめを警察に相談する前に確認したい判断基準と準備

いじめを警察に通報

エスカレートするいじめを食い止めるため保護者が学校に相談しても、なかなか取り合ってくれないという場合があります。学校がいじめの相談に応じにくい理由は、加害者と被害者の両方を守らねばならない点にあるといえます。

学校は裁判所ではありません。争いごとをまとめる専門知識は、弁護士や裁判官に比べ劣っているのは当然です。では、保護者とその子供はいじめに対して泣き寝入りをしなければならないのでしょうか?

実際のところ、警察に相談するという手があります。しかし、警察は日常的に利用する機関ではなく、気軽に相談できるという保護者はいないといえます。しかし、いじめを放っておくと事態が悪くなり、得策ではありません。

今このとき警察に相談するか迷っている方のために、いじめを警察に相談するまえに確認すべき判断基準を紹介します。いざ相談することになった場合、前もって準備すべきこともまとめました。

いじめを警察に相談するメリットとデメリット

まず、警察を利用してよいのか?という迷いを和らげるためにも、ここでは警察に相談するメリットとデメリットを整理します。

警察に相談するメリット

警察に相談する最大のメリットはいじめによる自殺防止です。問題が公になれば事態収束のため学校は強制的に対策を取らねばなりません。それに応じて、子供が自殺する前にいじめを解消できるチャンスが高まるからです。また、校内の他のいじめが発覚し、周囲で密かに苦しんでいる子供を助けられる可能性もあります。

警察に相談するデメリット

一方、デメリットとして、学校全体を巻き込む問題に発展した場合、いじめられていた事実が公になり、子供自身が一層傷ついてしまうことが挙げられます。学校にいづらくなった子供が転校を余儀なくされる場合もありえます。いかに騒ぎを大きくしないで立ち回れるかがポイントとなるでしょう。

いじめを警察に相談する際の判断基準は?

では、警察はどういった場合に動くのでしょうか?

例えば、貴重品の入ったカバンを隠したり盗んだりした場合です。刑事手続きは成人とは異なりますが、14歳以上なら窃盗罪として取り扱ってくれます。つまり、警察を動かすには、行われているいじめが犯罪であると証明すればよいことになります。

ここからはいじめと犯罪の区別をする際の参考に、どのような犯罪があるのか種類を紹介することから始めていきます。

文部科学省は平成25年に「早期に警察へ相談、通報すべきいじめの事案について」、各地の教育委員会や学校に通知をおこなっています。その際、「学校において生じる可能性がある犯罪行為等について」もまとめています。

【出典:文部科学省】
・早期に警察へ相談・通報すべきいじめ事案について(通知)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1335366.htm

・(別紙1)学校において生じる可能性がある犯罪行為等について http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1335369.htm

暴力

まず、暴力についてです。叩かれたり蹴られたりした場合は刑法において「暴行」、「傷害」の罪にあたる可能性があります。いじめで起きてもおかしくない行為ですが、実は、2年以下の懲役か30万円以下の罰金といった刑罰を受けます。

嫌がらせ

次に、恥ずかしいことや嫌なことをさせられたケースです。加害者は人に義務のないことをおこなわせたことで「強要」の罪に問われ、刑法第223条により3年以下の懲役に科されます。事例として、断れば個人情報をばらすと脅し、汚物を食べさせるという犯罪が挙げられます。強要は学校でのいじめにあてはまりやすい犯罪といえるでしょう。

窃盗

また、貴重品を盗むという「窃盗」という行為は10年以下の懲役、あるいは50万円以下の罰金を科されるなど、意外と罪が重いです。盗む以外の壊すという行為は「器物損壊」にあたります。犯罪として証明するためには、いじめで破壊された物品を残さねばなりません。

名誉毀損、侮辱

その他、単なるからかいや冷やかし、また、携帯電話やパソコンでの誹謗中傷は「名誉棄損」、「侮辱」の罪に問われることがあります。

結論、生命又は身体の安全が脅かされている場合はすぐに警察に通報を

このように、いじめはほぼ犯罪であるということがおわかりいただけると思います。子供だから許されている行為であって、大人であれば間違いなく警察に捕まる行為です。

したがって、子供の身の危険を感じた時や子供から自殺をほのめかす言葉を聞いた場合などは迷わず警察に相談すべきです。文部省も、生命又は身体の安全が脅かされている場合には、「直ちに」警察に通報すべきだと通知で訴えています。

いじめを警察に相談する前の準備

犯罪として証明できなければ、ただの相談で終わります。相談の際は周到な準備をしてから臨みましょう。

最も必要な準備が証拠の用意です。音声、写真や動画などが効果的ですが、加害者にばれる可能性があり、収集は困難です。そのため、証拠集めは探偵事務所といった専門家を利用するとよいでしょう。

その他、いじめの経緯をまとめた書面があると事情説明に役立ちます。特に被害者のつづった日記は人物の相関図や出来事の時系列を示すのにうってつけです。

警察への相談前に使える第三者機関

警察に相談する前に利用できる第三者機関もあります。法務省などは最たる例です。人権問題を取り扱っているためいじめ相談の専門的な窓口があります。また、学校との話し合いを進める上で弁護士も頼りになります。ただし、証拠集めのプロではないのでその点は、注意しましょう。その他、いじめの相談に乗ってくれるNPO法人も最近では増加しています。

まとめ

犯罪とほぼ同じであるいじめを解決するためには手段を選ぶ必要はありません。特に、学校や担任が信頼できないケースは手遅れになる危険性があります。証拠能力の高い証拠の準備に努め、警察への相談を常に奥の手として用意しておきましょう。

いじめ対策と調査の料金・費用相場

1日あたりの相場 費用総額の相場
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※実際に探偵ちゃんで紹介した探偵事務所に依頼した人の事例を元に算出しています。