片親の子供がいじめにあうリスクや対策をご紹介
両親が離婚することで、子供は母親・父親のどちらかに引き取られるため、生活上で片親になってしまいます。親としては、片親の子供がいじめにあわないか心配な人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、片親の子供がいじめにあうリスクや対策などについてご紹介します。
片親の子供はいじめのターゲットにされやすいのか?
片親の子供が必ずしもいじめのターゲットになるとは限りません。ひと昔前なら、両親の離婚や子供が母子家庭、父子家庭で育つことに対する偏見は非常に多かったでしょう。しかし、現代では、夫婦の3組に1組は離婚しており、学校のクラス内でも片親の子供がいるケースも増えてきました。
シングルマザーやシングルファザーに対する認知度が高まり、片親に対する偏見も減少傾向にあるでしょう。とは言え、片親の子供が100%いじめにあわないという保証はありません。なぜなら、片親の子供自身や両親の関係性、周囲との接し方によって、いじめにあうリスクが変わってくるからです。
片親の子供がいじめにあうリスク7つ
片親の子供がいじめにあうリスクには、どのようなものがあるのでしょうか。
名字が変わる
子供同士のいじめは、ささいな出来事から始まるケースが多いです。その中に、離婚で名字が変わることで、いじめに発展する可能性があります。
いじめのきっかけになるのは単に名字が変わっただけの場合もあれば、名字が変わった経緯をしつこく聞かれる場合が挙げられます。からかっている子供からすれば、たかが名字のことですが、片親の子供にとっては名字が変わることは両親の離婚を意味するため、触れられたくない事実をほじくり返されて嫌な気分になるでしょう。
学校の行事に親が参加しない
いじめのきっかけは、周囲よりも目立つ子供がターゲットになるケースも多いです。そのため、学校の行事に親が参加しない場合、「○○ちゃん(くん)のお父さん(お母さん)はいつも来ないよね」と話題にのぼりやすく、クラスでも存在が目立ちやすくなります。
クラスの中には自分よりも目立つ存在を嫌う子供もいるため、片親の子供はそういうタイプの子供からいじめのターゲットにされやすいのです。
片親で貧困家庭の場合、物を十分に与えられない
収入が低い片親で貧困家庭の場合、子供に充分な物を与えられないケースも少なくありません。たとえば、体操着や上履きが色あせたり穴が開いたりしても新しい物が買えない、子供の友達がゲーム機を持っていても高額で買い与えられないなど。
そのため、「○○くんは上履きが汚いから近づかないで」「〇〇ちゃんはゲーム機を持ってないから遊ばないようにしよう」「〇〇の家は貧乏」といった仲間外れやからかいが差別的ないじめにつながる可能性があります。
子供がクラスメイトの前で家族の話を避ける
夏休みや大型連休などは、多くの家族連れが旅行やアウトドア、外食などに出かける機会が増えます。一方、片親の家庭の場合、親が仕事で家を空けることが多く、子供と出かける機会が少なくなりがちです。この差が、後に子供のいじめにつながる場合があります。
休み明けの学校では、家族でどこに行った、一緒に何をしたなどと、家族との楽しい思い出話が話題になります。しかし、話せる思い出話がない片親の子供はクラスの中で孤立しやすくなるため、いじめにあうリスクが高まるのです。
子供がクラスメイトに片親を指摘されてトラブルを起こす
時には、片親の子供がとった行動が、いじめにあうリスクを高める場合があります。たとえば、クラスメイトから両親の離婚話を持ち出された、片親であることをからかわれたなどが挙げられます。
クラスメイトから何を言われても、相手にしない、我慢し続けるという子供もいるでしょう。しかし、感情が怒りに達した場合、攻撃的な態度をとる子供もいます。そのため、クラスメイトを罵倒する、ケガをさせるなどのトラブルを起こす場合があります。
このようなトラブルを起こしたことからトラブルメーカーのレッテルを貼られ、クラスメイトから仲間外れや無視をされるなどのいじめに発展するケースも少なくありません。
親が世間的に良いイメージではない仕事に就く
親がアルバイトなどの非正規社員や水商売などの社会的に信用度が低いイメージがある仕事に就いている場合、いじめにあうリスクが高まります。一見、親の仕事と子供のいじめは関係ないように思えますが、そうとは限りません。
たとえば、同級生の親同士の噂話や悪口を聞いた子供がそれを真に受け、学校で片親の子供をいじめるきっかけになる場合があるのです。
転校する
転校も、いじめにあうリスクを高めます。離婚によって住居が学区外になる場合、子供は引っ越し先の学校に転校しなければなりません。転校生がクラスで最も目立つ存在になりやすいのは今始まったことではなく、昭和でも令和でも転校生はいじめのターゲットにされやすいのです。
片親の子供がいじめにあわないための対策
片親の子供が学校でいじめられないように親ができることはどんなことでしょうか。具体的な対策をご紹介します。
学校では離婚前の名字を名乗る
子供の親権を得た親が旧姓に戻る場合、子供は元配偶者の戸籍に入ったままの状態になり、親子間で名字が異なってしまいます。旧姓になった自分の戸籍に子供を入れれば、親子で同じ名字を名乗れますが、子供は学校で親の旧姓を名乗らなければなりません。
学校で子供の名字が変わることを避けたい場合、次の2つの選択肢があります。1つは親が旧姓に戻らず、結婚時の名字を離婚後も名乗り続けることです。この手続きを「婚氏続称」と言います。
もう1つの方法は、旧姓に戻った親の戸籍に子供の戸籍を移した上で、学校では通称名として離婚前の名字を名乗り続けることです。学校に事情を説明することで、解決することができるでしょう。
ただし、本名は離婚後の親の旧姓になるため、健康保険証や運転免許証、パスポートなどは旧姓での手続きが必須です。あくまでも、学校限定の呼び名であることを覚えておきましょう。
学校の行事には両親もしくはどちらかが参加する
学校の行事に親が一切参加しないという事態を防ぐためにも、離婚後も両親がそろって学校の行事に参加できるよう、元配偶者と相談しておくことをおすすめします。どうしても2人そろって学校の行事に参加できない場合は、必ずどちらかが出席できるようスケジュール調整を行いましょう。親子の信頼関係を崩さないためにも、くれぐれも当日のドタキャンだけはしないように気をつけてください。
経済的に余裕がない場合は行政などの支援を受ける
十分な養育費をもらえない、思うような仕事に就職できないなどの理由から、片親の家庭が貧困に陥ってしまうケースも少なくありません。最低限の生活水準が守れなければ、学校で必要なものどころか、子供の成長に欠かせない食事さえも与えられなくなる可能性があります。
身近に両親や知り合いなどがおらず誰にも頼れないという場合は、片親の家庭をサポートする行政や民間団体などから支援を受けることを検討してみましょう。経済的な支援を受けられるほか、就業支援などもあるので、一度相談してみるのも良いでしょう。
転校させない
離婚後の引っ越し先が学区外の場合、子供は転校を余儀なくされます。転校によっていじめにあうリスクが高まるため、転校せずに済むよう引っ越し先はなるべく学区内にすることを検討しましょう。
どうしても学区外に引っ越さなければならない場合、学区外・区域外就学が可能かどうか、自治体や学校と相談してみてください。
子供に寂しい思いをさせない
片親の子供が両親の離婚を機に、明るかった性格から口数が少ないおとなしい性格に変わったというケースも少なくありません。また、親の前では寂しさを見せずに明るく振る舞う子供さえいます。
そんな子供を見て、「あの子はいつも笑顔だから大丈夫。強い子だからきっと乗り越えてくれるはず」と、都合の良いように解釈するのは非常に危険です。自分の感情にふたをし続けた子供は、家庭でも学校でも孤立してしまう恐れがあります。子供に寂しい思いをさせないよう、気を配ってあげることが大切です。
子供が片親であることに引け目を感じさせないために大切なこと
片親の子供の中には自分が片親であることに引け目を感じ、明るかった性格が内向的になったり必要以上に自己卑下をしたりするケースも少なくありません。子供に片親である事実と向き合い、引け目を感じさせないために親ができることを最後にご紹介します。
離婚後も両親それぞれが子供に愛情を注ぐ
片親であることに引け目を感じる原因のひとつは、子供が両親から十分な愛情を受け取れていないことです。親としてできる限りの愛情を子供に注いでいたとしても、子供がそれを愛情として受け入れなければ意味がありません。
離婚すれば元配偶者は赤の他人になりますが、子供にとっては永遠に父親であり、母親です。夫婦間の事情はどうであれ、子供が両親から今も愛されていると実感できるよう、離婚後も親として愛情を注ぎ続けることが大切です。子供は両親から愛されていると実感できれば、片親でも愛情をたくさん受けた子供に育つでしょう。
片親の有名人を例に挙げて子供に自信をつけさせる
子供は時に、片親を言い訳にして親に当たり散らすことがあるかもしれません。そんなとき、親は子供に負い目を感じて子供と距離をとってしまう場合があります。しかし、それでは子供の言い分が正しいと認めたことになります。
世の中には片親でも夢を叶えた人、有名になった人が数多くいます。子供には酷なことかもしれませんが、社会で生きていく上で片親であることはハンディキャップにならないと教えることが大切です。時がきたら、子供と膝をつきあわせて「親子で一緒に乗り越えていこう」と話しかけてみてはいかがでしょうか。真摯に向き合えば、子供も理解してくれるでしょう。