アルハラに遭わないための断り方と対策をご紹介

アルハラする男性

アルハラとは、アルコール・ハラスメントの略称で、アルコール飲料に関連する嫌がらせ行為のことを指します。

アルコールに関連するトラブルは昔からありましたが、アルハラという言葉が世間に浸透し、社会問題として取り上げられるようになったのは1980年代以降のことです。アルハラによる死亡事件が起きたことがきっかけで注目されるようにはなりましたが、残念ながら急性アルコール中毒によって病院に搬送される患者は増加の一途をたどっています。

この記事では、飲酒によって他人に迷惑をかけたり、時に人の命を奪ってしまうアルハラについて、遭わないための断り方や対策、アルハラに遭った時の対応の仕方を紹介していきます。

アルハラに当たる行為とは?

アルハラに遭っていませんか?周りにアルハラ行為をする人はいませんか?

アルハラ行為はお酒に関する嫌がらせ全般の行為をさします。厚生労働省が定義するアルハラ行為は下記の通りです。

アルハラに該当する行為

  • 飲酒を強要する
  • 一気飲みをさせる
  • 故意に酔いつぶれさせる
  • 泥酔して執拗にからむ
  • 飲めない人に対して配慮しない
  • 酔ったうえでの迷惑行為

飲み会の席で上記のような行為に遭っていませんか?アルハラで死亡事故に至るケースまであるので、被害に遭わないよう自分で防衛する必要があります。飲み会の席に行く際は、十分に気を付けてください。

アルハラによって起きた事件

ここでは、日本でアルハラが注目されるきっかけとなった事件を詳しく紹介します。ご紹介するのは、誰にでも起こりうるような身近なケースです。いつ自分の身に降りかかってもおかしくないということを理解しておきましょう。

大学生が飲酒を強要されて死亡した事件

これは、ある大学の部活の春休みの合宿中に起きたアルハラ事件です。この大学の部活では、引退する3年生から次に部活を率いる2年生に世代交代をする際、伝統的な恒例行事として、焼酎原液4リットルの回し飲みをおこなっていました。

事件が起きた日も、2年生部員をひと回りして、飲みきれなかった残りの500ミリリットルの焼酎を20歳の男子学生が強制的に飲まされ、この男子学生はそのまま意識を失い、翌朝亡くなりました。

両親は、部活の学生と大学を相手に損害賠償を求めて提訴しましたが、大学側は男子学生が自ら進んで飲んだのでアルハラには当たらないと主張。訴訟の結果、飲酒を強要されたことがわかるビデオの存在もあったことから、アルハラによって死亡したことが認められて和解し、大学と部員は両親に対して和解金を支払うことになりました。

飲酒強要により精神疾患になった事件

仕事の出張先であるホテルで、上司によるアルハラを受けた事件です。アルハラを受けた従業員は、アルハラが原因で精神疾患に陥り休職、その後、自然退職となっていました。

被害者である従業員は、もともと少量のアルコールを飲んだだけでも嘔吐してしまうほどアルコールに弱い体質であったにも関わらず、上司は「酒は飲めば強くなる」としつこく飲酒を強要し、翌日も体調を崩した従業員に車を無理やり運転させるなどのパワハラも行っていました。

上司からのアルハラとパワハラを受けた結果、従業員は精神疾患を患って休職し、休職満了日までに復職できなかったために最終的に退職させられてしまったのです。

訴訟の結果、上司と会社に慰謝料の支払いは命じられましたが、アルハラと精神疾患の因果関係は認められず、従業員を退職させた会社の対応も違法とは判断されませんでした。

アルハラに遭わないための断り方

酔っ払い男性

大学生の新歓コンパや会社の歓送迎会や忘年会、お酒を飲む機会は山ほどあり、自分がアルハラに遭わないという保証はどこにもありません。

ここでは自分の命を守るため、アルハラに遭わないための断り方を紹介していきます。

車の運転を理由に断る

車を運転する時に飲酒をしてはいけないのはもちろんのこと、運転手であることを分かっていながらお酒を飲ませた人も厳罰に処せられることになります。

素直に「お酒が飲めないので」と断ることができれば良いですが、それができない場合は「飲み会の後に車を運転する予定があるので飲めない」とお酒を断るようにしましょう。2007年以降、飲酒運転は法律によって厳罰化されていますので、車の運転があると分かれば、それ以上執拗にお酒を勧められることもないでしょう。

体調が悪いと断る

きっぱりとお酒を断ることができなければ、「体調が悪い」という理由を伝えてお酒を断りましょう。ただし、その際は多少の演技も必要です。時々トイレに立つなど、実際に体調が悪いのだということを周囲にアピールしておきましょう。

お酒が飲めない体質だと言って断る

お酒が飲める人は、お酒が飲めない人のことが理解できず、「お酒なんて飲んでるうちに強くなるものだ」と自分勝手な理屈を述べてくることがあります。

そんな人には、「お酒が体質に合わず、以前救急車で運ばれたことがある、失神したことがある」など、具体的にお酒を飲めばどうなるのかということまで伝えるようにしてみてください。お酒を強要したことが原因でそんな事態になれば相手も困るので、それ以上お酒を強要してくることはないはずです。

アルハラに遭わないための対策

お酒が怖い男性

アルハラに遭いたくなければ、事前にしっかりと対策をたてておくことも大切です。ここでは、アルハラに遭わないために事前にできる対策を紹介していきましょう。

あまりお酒を飲まない人の近くに座る

アルハラに遭わないようにするためには、飲み会の最初にどこに座るのかということが重要になってきます。間違ってもお酒好きな人の隣に座ってはいけません。お酒が好きな人は、自分が飲むのが好きなだけでなく、周囲の人にも強くお酒を勧めます。そんな状況に陥らないためには、あまりお酒を飲まない人、お酒を飲んでも良識があってしっかりしている人の近くに座るようにしましょう。

上司や同僚にお酒が飲めないことを伝えておく

飲み会の前に、直属の上司や同僚にお酒が飲めないということを伝えて根回ししておくことも有効な対策方法です。お酒が飲めないということを知っていれば、飲み会の席を配慮してくれたり、飲まされそうになっても庇ってくれるでしょう。

そもそも飲み会に参加しない

実際に飲み会に参加してお酒を断ることが難しいようであれば、そもそも飲み会自体に参加しないというのも一つの手です。

会社の飲み会に一切参加しないとなると、「あいつは付き合いが悪い」と陰口を叩かれることもあるかもしれませんが、お酒を強要されて命を落としたり精神的に追い込まれるよりは良いはずです。

しかし、飲み会という場がコミュニケーションを深める場であることも確かです。もし会社の人ともっとコミュニケーションを取りたいと思うのであれば、ランチに誘ってみるなどお酒を通さずにコミュニケーションを深める機会を設けましょう。

万が一、アルハラに遭ってしまった時の対応の仕方

お酒が飲めない男性

アルハラに遭わないためにさまざまな対策をしても、飲み会に参加して運が悪くアルハラに遭ってしまうこともあるでしょう。ここでは、万が一、アルハラに遭ってしまった時の対応の仕方についてお話します。

他の上司や先輩、友人に助けを求める

お酒を強要されたら、勇気をもって自分で断ることが一番ですが、それが難しいのがアルハラです。そんな時は他の上司や先輩、友人に助けを求めてください。アルハラは我慢し続けていれば最悪の場合、死に至ることもあります。

信頼のできる上司や先輩、親しい友人にはアルハラに遭ったら助けてほしいと前もって伝えておいてください。第三者がお酒を飲めないことや体調が悪いなどを伝えると非常に効果的です。

人事や社内の相談窓口に相談する

もし、アルハラの当事者が自分の上司や先輩だった場合は、会社の人事部や相談窓口に相談するようにしましょう。アルハラを放置してしまえば事件に発展してしまうことも考えられるため、会社として必ず何か対応してくれるはずです。

もし、会社内だけで解決できそうになければ厚生労働省が管轄する総合労働相談コーナーや精神保健福祉センターなど外部団体に無料で相談することも可能です。アルハラは危険な行為であることを認識し、アルハラに遭ってしまった時は早急に第三者に相談して対策を講じるようにしましょう。

総合労働相談コーナー

精神保健福祉センター

法的措置を検討する

アルハラは危険な犯罪行為です。ケースによって、強要罪や傷害罪、過失傷害罪、保護責任遺棄罪などの刑事責任が発生します。会社や外部の相談窓口に相談してもなかなか解決せず、自分の身に危険を感じている場合は手遅れになってしまう前に弁護士に相談し、法的措置をとることも検討しましょう。

法的措置をとる場合は膨大な証拠が必要になりますので、アルハラに遭った時の動画を撮影しておくなど、しっかりと証拠を残しておきましょう。

まとめ

本来であれば、お酒を飲む場は人をリラックスさせて、上司や先輩、友人との親睦を深めるための機会でなければなりません。それが、一歩間違えてしまうとアルハラ行為となり、最悪の場合は死亡事故にまで発展してしまうことがあります。

もちろん、アルハラの当事者はそんな事件に発展することなど夢にも思っていないでしょうし、アルハラを受けた側も「こんなことはよくあること」と我慢し続けているかもしれません。しかし、アルハラは立派な犯罪行為であり、人の命に関わるリスクもはらんでいます。そのことを十分理解し、アルハラに遭わないようにしっかりと対策をとるようにしましょう。

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