パタハラを受けないための対策4つと対処法3つ

やる気の男性

最近は「イクメン」という言葉も流行り、男性の積極的な育児参加が目立つようになってきました。しかし、その一方で職場でのパタハラに悩む男性が増えています。

パタハラとは、パタニティー・ハラスメントの略称です。パタニティーとは英語で父性、つまり、育児休暇を取得する男性が職場の上司や同僚から虐めや嫌がらせを受けることを言います。

女性が受けるマタハラと違って、パタハラはまだまだ世間に広く認識されていないかもしれませんが、今後、男性の積極的な育児参加を促していく中で避けては通れない問題です。2018年度の女性の育休取得率は82.2%、男性の育休取得率は6.16%、その数字を見ても、男性が育児休暇を取得することはまだ難しい状況であるということが分かります。

この記事では、厳しい状況の中で育児休暇を取得して育児に積極的に参加しようとしている男性が、職場でパタハラを受けないための対策と、実際にパタハラを受けた時の対処法を紹介していきます。

パタハラの原因は?

古い固定概念

日本では、いまだに「男性が外に出て働き、女性は家で家事や子育てをおこなう」という昭和的な古い固定概念が根強く残っています。女性の社会進出が進み、共働き家庭が増えているにも関わらずです。

特に、会社で上司世代にあたる50~60代の男性は古い固定概念に縛られたままで、男性が育児休暇を取得するということが理解できないという人が多いでしょう。職場での直属の上司がこのような古い固定概念に縛られていると、その職場全体でパタハラが起きてしまうことになります。

企業の受け入れ体制が不十分

女性の産休・育児休暇の取得については、多くの企業で受け入れ体制が整いつつありますが、男性の育児休暇の取得についてはまだまだ受け入れ体制が不十分です。

実際にパタハラ被害を受けた社員のための相談窓口の設置、どういう行為がパタハラに当たるのかということの明確化、男性社員の育児休暇取得を促すような社内研修など、企業全体が積極的に男性社員の育児休暇取得を奨励していかなければパタハラ問題はなくなりません。

実際に起きたパタハラの事例

まだ、世間には広く認知されていないパタハラ問題ですが、実際に職場でパタハラ被害を受けて訴訟を起こした事例はいくつかあります。ここでは、過去に起きたパタハラの事例をご紹介します。

育休取得後に昇格・昇給を阻止した事例

これは、京都の病院で看護師をしていた男性のパタハラ事例です。この男性は、3ヶ月間の育児休暇を取得した後、病院側に昇給を認めてもらえず、更に昇格試験を受ける資格すらも与えられませんでした。

男性は、病院側の対応は育児介護休業法に抵触するとして、損害賠償と昇給分の給料を求めて裁判所に訴えました。当時、昇格試験はほぼ全員が受けているものであったことから、裁判所は、病院側の対応は不利益な取り扱いに当たるという判決を下し、病院側に男性に対して慰謝料を支払うように命じたのです。

職場復帰後に休職命令を出された事例

つぎは、外資系の証券会社に勤めていた外国人男性が職場で受けた事例です。当初、男性が申請した育児休暇はなかなか認めてもらうことができませんでした。その後、なんとか育児休暇を取得することはできましたが、職場復帰後に悪質な嫌がらせや不当な配置転換や減俸を言い渡されました。結果的に男性は精神的に追い込まれてうつ病を発症したのです。

男性は職場復帰後の不当な配置転換や減俸、降格は違法であると訴訟を起こしました。それに対し、会社側は休職命令や配置転換は男性に配慮したものであったと主張し、現在も訴訟は続いています。

パタハラを受けないための対策4つ

パタハラの被害は、マタハラよりも更にひどいと言われています。ひどい場合には、事例にもあったように、うつ病を発症してしまうこともあります。ここでは、パタハラの被害に遭わないためにできる対策をいくつかご紹介します。

先に育休をとった人から情報収集する

パタハラを受けたくなければ、まずは職場で先に育休をとった人から情報収集をおこないましょう。会社が認めてくれる育児休暇の期間、取得後の処遇や仕事内容、直属の上司の男性の育児休暇取得に対する考え方など、あらかじめ必要な情報を得ることで、より円満に育児休暇を取得することができます。

また、同じように育休をとった人であれば良き協力者になってくれるでしょう。パタハラを受けないためには、職場に理解者・協力者を増やしておくことも大切です。

真面目に仕事に取組み実績を作る

よくあるパタハラの被害の一つで、育児休暇を取得したら重要な仕事を任されなくなる、降格される、など不当な取り扱いを受けることがあります。このような被害を避けるためには、会社に「早く職場に戻ってきてほしい」と思ってもらえるような実績を作ることが一番です。当然、普段の勤務態度が不真面目な人が育児休暇を取得すれば、周囲は反感を覚え、職場復帰しても重要な仕事を任されなくなってしまうでしょう。

育児休暇を取得したいと考えているのであれば、真面目に仕事に取り組み、会社から信頼されるように普段から努力しておきましょう。また、職場で何かトラブルがあった時には、自分は直接関係なくても積極的にサポートするなど、持ちつ持たれつの良い人間関係を築いておくことも重要です。

感謝の気持ちを伝える

育児休暇を取得することは、誰もが持っている当然の権利です。しかし、権利を行使するのは当然のこと、という態度を取られるとやはり周囲も嫌な気持ちになってしまいます。自分が育児休暇を取得することで、同じ職場の先輩や同僚に仕事のしわ寄せがいくということを理解しておいてください。

たった一言、心を込めて「ありがとう」という気持ちを伝えるだけで、その後の関係は大きく変わります。育児休暇に入る前には「ご迷惑をおかけします」、職場復帰した後には「ありがとうございました」としっかり感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。

家庭の事情を周囲に理解してもらっておく

男性が育児休暇を取得することに対して、まだまだ世間の目は冷たい状況です。「どうして奥さんがいるのに育休が必要なの?」と考える人がほとんどでしょう。円満に育児休暇を取得して復帰するためには、どうして自分が育児休暇をとる必要があるのか、家庭がどういう状況なのかということを明確に周囲に説明し、理解してもらうことです。

何も状況を説明されずに「育休をとります」と言われるよりも、丁寧に理由を説明された方が当然周囲も受け入れやすくなります。

パタハラを受けた時の対処法3つ

パタハラを受けないためにいろいろと対策を講じても、残念ながらパタハラの被害に遭ってしまうことはあります。ここでは、実際にパタハラの被害に遭った時の対処法をご紹介します。

相談窓口やホットラインに相談する

まずは、会社内にある相談窓口に相談してみましょう。パタハラの原因を解消し、適切な処置を講じてくれるはずです。

社内の相談窓口に相談してもなかなか状況が改善しないという場合は、厚生労働省が管轄する労働局の雇用均等室や、全国社会保険労務士会連合会の職場のトラブル相談ダイヤルなど、公的な機関に相談するのも一つです。会社に対して、行政指導をおこなってくれるケースもあります。一人で抱えこんで精神的に追い込まれてしまう前に、必ず第三者に相談するようにしてください。

都道府県労働局 |厚生労働省

職場のトラブル相談ダイヤル|全国社会保険労務士会連合会

法的措置をとる

社内の相談窓口や公的な機関に相談してもパタハラの被害がなくならなければ、弁護士に相談して法的措置をとることも検討しましょう。

育児休暇取得後の降格処分や減俸、不当な配置転換などは、不利益な取り扱いとして育児介護休業法に抵触します。自分一人で解決できなければ、弁護士に相談して損害賠償や不利益な取り扱いの撤回を訴えましょう。ただし、訴えるとなるとパタハラ被害を受けたという膨大な量の証拠が必要になってきますので、それ相応の覚悟が必要です。

転職する

育児休暇を取得したことを理由に嫌がらせや降格処分などをしてくるような会社であれば、自分から早々に見限ってしまいましょう。世の中では男性の積極的な育児参加を促そうとしている中、その流れを逆行しているような会社に嫌な気持ちを抱えたまますがりついていても先はありません。

転職はなかなか勇気がいることではありますが、退職まで何十年も勤めることを考えれば必要な決断です。精神的・肉体的に追い詰められてしまえば、家庭の中にも影響することになってしまいます。パタハラがひどい場合は、気持ちを切り替えて自分に合った新しい職場を探してみましょう。

まとめ

日本では、男性が育児休暇を取得することに対してまだまだ理解が少なく、受け入れてくれる人も少ないのが現状です。

しかし、誰かが立ち上がらなければ、女性が育児をするべきという考えはいつまでも変わらず、パタハラの被害がなくなることもありません。今は少数であっても、一人ひとりが立ち上がってその声が広がれば、もっと男性が育児に参加しやすい世の中になるはずです。

子どもが小さいのは一瞬で、あっという間に成長して親の手から離れていきます。その短い子育ての時間を後悔のないように過ごせるようにしましょう。

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