職場のマタハラの原因と対策!実際にあった実例も!

妊婦

ひと昔前までは、女性は結婚して妊娠をすると退職して家庭に入るというのが一般的でした。しかし、最近は妊娠すると産休・育休をとってまた職場復帰するという女性が増えています。海外に比べると遅れてはいますが、日本でも女性の社会進出が進んでいます。

女性の社会進出が進んでいると聞くと、当然女性にとって働きやすい体制が整えられていると思いますが、実際はそうではありません。マタハラ=マタニティ・ハラスメントという嫌がらせや不当な扱いを受けている女性がまだまだ大勢います。

この記事では、職場で起きているマタハラの原因と対策、そして実際に過去に起きたマタハラの実例を紹介していきます。

職場でのマタハラの原因は?

妊娠・出産はとてもおめでたいことです。それなのに、なぜ職場でマタハラが起きてしまうのでしょうか。ここでは、その原因について詳しく解説していきます。

会社の受け入れ体制が未熟

マタハラを受けてしまう原因の一つは、会社の受け入れ体制がまだまだ未熟、ということです。会社の規則で産休や育休の取得についてしっかりと保証してあったとしても、会社全体が妊娠・出産して職場復帰する女性に対して理解を示し、受入れていなければ意味がありません。

マタハラ被害を受けている女性がいれば、当然会社にはそれに対処し、事態を収拾する義務がありますが、今の日本にはまだまだそこまで万全の体制が整っている会社は少ないでしょう。結局マタハラを受けた女性が泣き寝入りすることになってしまうのです。

周囲の理解が少ない

妊娠・出産に対する理解が少なく、マタハラの原因になってしまうこともあります。

人によって程度の差はありますが、妊娠すると女性は悪阻や貧血に悩まされ、お腹が大きくなってくると動きも鈍くなります。しかし、妊娠したことがない人には「妊娠は病気じゃないのにどうして特別扱いしなきゃいけないの?」と思われてしまうケースもあります。妊娠を理由に仕事をさぼっていると思われてしまうことも。その結果、執拗な嫌がらせを受けて、妊婦さんが精神的にも肉体的にも追い詰められてしまうのです。

業務過多

世界的に見て、日本は残業も多く長時間労働をする傾向があります。それが、職場で一人産休・育休に入ることで、その抜けた穴を埋めるために、周囲の人の仕事の量が更に増えてしまうことになるのです。業務量が増えてしまうと、当然社員には不満やストレスが溜まります。妊娠した女性に罪はなくても、当然そのストレスによるイライラの矛先は妊娠した女性に対して向かってしまうでしょう。

妬みや嫉妬

マタハラは、職場の男性からだけでなく、意外にも女性の妬みや嫉妬から受けるケースも多いのです。なかなか子どもを授かることができない女性や仕事のために子どもを諦めていた女性、産休・育休の制度が全くなかった時代に子育てをしていた女性は、妊娠して会社に守られている女性に対して妬みや嫉妬という感情を抱いてしまいます。そういう負の感情が、妊婦さんを追い詰めるマタハラへと繋がってしまうのです。

職場でのマタハラの実例

マタハラ上司

マタハラは、時に裁判にまで発展してしまうことがあります。降格や解雇など、会社に不当な扱いをされた時は、裁判を起こして会社を訴えることができるのです。ここでは、過去に実際に起きたマタハラの実例を紹介します。

中絶を促され、解雇された実例

幼稚園に勤務していた女性が、園長から中絶を勧めるような言動を受け、最終的に解雇されたことにより未払いの賃金と損害賠償請求をした実例です。

女性は、入籍していない男性の子どもを妊娠し、その旨を園長に報告すると「結婚していないのに妊娠するなんてありえない」など、園長は女性を貶めるような発言を繰り返しました。

その後、女性が切迫流産で入院が必要になると、園長は中絶を勧め、医師から絶対安静と言われている女性に対して出勤することを強要、結果その女性は流産したのです。

女性が流産した後、園は女性の勤務態度を理由に解雇し、女性は園と園長に対して裁判を起こしました。裁判の結果、園長の行為は男女雇用機会均等法に違反するとされ、女性の請求が全面的に認められました。

内定を取り消された実例

印刷会社に内定していた大学生が、内定期間中に妊娠したことを理由に内定を取り消されたという実例です。

女子大生は、内定期間中に妊娠が判明したことを内定先の会社の人事部に報告したところ、会社から内定を取り消されてしまったのです。会社側は内定取り消しの理由を「陰鬱な印象を受けたため」としましたが、妊娠が原因だということが明らかだったために、女子大生は内定先に対して内定取り消しの撤回と損害賠償請求を行いました。

裁判の結果、内定を取り消したのは妊娠が理由であるとみなされて、会社の行った行為は労働契約法違反であるとされました。女子大生の請求通り、内定取り消しの撤回も損害賠償の請求も認められました。

異動命令を出された実例

出版社に勤める女性が、産休・育休を取得後に異動を言い渡され、断った直後に解雇されたという実例です。

女性は、8ヶ月間の産休・育休を取得し、育休明けに職場への復帰を申し入れます。しかし、会社側はインドに転勤するか、収入が大きく下がる職場への異動を提示。女性がこれを断ると、会社の秩序を乱したことを理由に女性を解雇したのです。

裁判の結果、女性への会社の対応は育休法や男女雇用機会均等法に違反するとし、女性の解雇は無効とされ、慰謝料と未払いの賃金の支払いが命じられました。

職場でマタハラに該当するもの

職場で嫌な思いをすることがあっても、「これってマタハラなの?」と、どういう行為がマタハラに該当するのか分からずに、自分の中に溜め込んでしまっている女性も多いのではないでしょうか。

以下に理由とマタハラと認定される不利益な扱いをご紹介します。

理由

  • 妊娠、出産
  • 妊婦検診などの母性健康管理措置
  • 産前や産後の休業
  • 軽易な業務への転換
  • つわり、切迫早産による作業効率の低下
  • 育児時間
  • 時間外労働、休日労働、深夜業をしない
  • 育児休業
  • 短時間勤務
  • 子の看護休暇

上記の理由で以下の扱いを受けた場合はマタハラと認定される

  • 解雇
  • 雇止め
  • 契約更新回数の引き下げ
  • 退職や正社員を非正規社員とする契約内容変更の強要
  • 降格
  • 減給
  • 賞与等における不利益な算定
  • 不利益な配置変更
  • 不利益な自宅待機命令
  • 昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う
  • 仕事をさせない、雑務をさせるなど就業環境を害する行為をする

(根拠法令:男女雇用機会均等法や育児介護休業法)

職場でこれらの行為を受けた場合は、無理に我慢しようとせずに第三者に助けを求めるようにしてください。

職場でマタハラを受けた時の対策

電話をする女性

妊婦さんへの理解はまだまだ少なく、マタハラの被害はなかなか無くなりません。自分がいつマタハラを受けるかとヒヤヒヤしている女性も多いことでしょう。ここでは、もし実際に職場でマタハラを受けてしまった時にとるべき対策をご紹介します。

相談窓口やホットラインに相談する

まずは、社内にマタハラなどのトラブルを受けた時のための相談窓口がないかを確認しましょう。会社は、マタハラを受けた被害者を守るために何らかの措置をとるという義務があります。

もし、社内の相談窓口だけでは頼りないという場合には公的な相談窓口に相談することも可能です。「職場のトラブル相談ダイヤル」では、社会保険労務士が電話相談や面談で対応してくれます。無料で相談することができますので、マタハラを受けたという人は一度電話で相談してみてください。自分一人で抱え込まず、まずは第三者に話を聞いてもらいましょう。

職場のトラブル相談ダイヤル | 全国社会保険労務士会連合会

弁護士に相談する

もし、社内の相談窓口や外部のホットラインに相談しても何も解決しない、マタハラの被害がエスカレートする一方だという場合は、弁護士に相談して法的な措置をとることも考えましょう。マタハラによって受けた不利益な取り扱いや心的な中傷や嫌がらせによる心的被害に対して、慰謝料の請求や不利益な取り扱いの撤回を要求することができるのです。

弁護士に相談して、実際に会社を訴えるとなると、マタハラを受けたという具体的な証拠が必要になってきます。マタハラによって精神的に追い詰められたのであれば、心療内科を受診してください。心療内科に罹っていたという事実がマタハラを受けていた証拠にもなります。

転職も視野に入れる

マタハラ問題がまったく解決されない場合は、転職するということも視野に入れましょう。苦労して就職活動をした末に得た職場であれば、当然自ら手放したくないと思うかもしれませんが、気持ちを切り替えて新しい職場を見つけることも一つの手です。

マタハラを受けて嫌な思いをしたまま産休・育休に入り、職場復帰をしてまた、マタハラ被害を受けるということも十分に考えられます。「自分にはこの職場しかない」と思い込んでしまうことで、更に自分のことを精神的・肉体的に追い詰めてしまうことになるでしょう。「我慢ができなければ転職しよう」と考えて仕事に臨めば、気持ちも少し楽になるはずです。

まとめ

男女雇用機会均等法や労働法、会社の就業規則が改善されて、女性が社会進出しやすい環境になっているとは言っても、マタハラの被害はいまだに無くなることがありません。日本には「男は外で働き、女は家を守る」という昭和的な古い考えが、まだ根強く残っています。

しかし、そんな古い考えを改めさせ、もっと女性が活躍しやすい場所を作っていくためには、今実際にマタハラ被害を受けている人達一人ひとりが声をあげる必要があります。

「私が我慢すれば全て丸く収まる」と一人で耐え忍んでいませんか?自分のためにも、今後社会で働く女性たちのためにも、声をあげて外に助けを求めてください。マタハラの実情を理解し、きちんと対応しなければならないという意識が社会に広がれば、いつかマタハラは無くなるはずです。自分たちの手で働きやすい環境を手に入れましょう。

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