我が子が学校でいじめの冤罪に巻き込まれたときにすべきこと
いじめには必ず加害者と被害者が存在しますが、ときには全く関係のない第三者が加害者に担ぎ上げられてしまうケースがあります。自分の子供が学校でのいじめの加害者にされてしまったとき、保護者はどのように対応すれば我が子の冤罪を晴らすことができるのでしょうか。
そこで、子供がいじめの加害者にされてしまった場合において、冤罪を晴らすために保護者がすべきことを解説します。
いじめの冤罪とは?
いじめの冤罪とは、いじめの加害者・被害者のどちらでもない第三者が加害者にされてしまうことを指します。いじめの加害者のなかには、自分のしたことが明るみになるのを恐れ、全く関係のない人物を加害者に仕立て上げる人も少なくありません。
学校側がしっかり調査を行えば、いじめの冤罪は存在しないはずです。しかし、一部の子供の意見だけを鵜呑みにして、本当にいじめの加害者なのかを確かめもせずに一方的に決めつけてしまうケースも多いです。
いじめの冤罪が起きる背景
学校でいじめの冤罪が生まれてしまう背景について解説します。
声が大きい人の意見が通りやすい
クラスや学校内で影響力が大きい子供がいじめの加害者だった場合、周囲の子供は報復を恐れていじめの通報をしようとはしません。そのため、加害者が嘘を言っても、周囲の子供は固く口を閉ざしてしまう傾向が高いです。
たとえば、嘘をついた子供の親がPTA会長など、学校への影響力が大きい立場にあるケースや、教師や保護者の前では優等生を演じているが、実際はスクールカーストのトップに位置しているといったケースも少なくありません。
このように、発言力の強く、声が大きい人の意見が通りやすいため、いじめの冤罪が生まれてしまいます。
学校長や教員の責任問題
学校長や教員が意図的にいじめを隠ぺいしたり、無難に事を治めようとしたりすることで、いじめの冤罪が生まれるケースも多いです。いじめが発覚しても学校長や教員が法的に罰せられることはありません。
しかし、対応を誤れば、世間やマスコミなどから社会的な制裁を受ける可能性があります。そうなれば、学校側がすべての責任を問われるリスクが高まるため、形だけの調査を実施した結果、いじめの冤罪が起きてしまうのです。
素人がいじめの冤罪を証明するのは難しい?
いじめの冤罪を証明するには、第三者の証言や明確な証拠の提示が必要です。自分の子供が学校でいじめの加害者にされてしまった場合、子供がいじめに関係がないという証言をクラスメイトなどから得る必要があります。
しかし、学校側から一方的にいじめの加害者にされているため、学校側の協力は期待できません。そのため、学校の協力を得ずに、クラスメイトなどから証言をとるのは難しいでしょう。
本来、学校側は公正な立場でいじめの調査を慎重に行うことが求められますが、学校側が冤罪を後押しした場合、冤罪の子供や保護者は孤立する可能性が高くなります。誰の協力もなしに素人がいじめの冤罪を証明することは、非常に難しいのです。
いじめの冤罪に関する相談先
いじめの冤罪を専門にする窓口はありませんが、いじめの冤罪について相談できる窓口は多数あります。ここでは、いじめ問題を扱う相談先を紹介します。
弁護士
いじめの冤罪によって、学校側が自分の子供に対して停学や退学処分にする、いきすぎた厳しい指導をするなどの問題が生じた場合、弁護士に相談するのも1つの方法です。弁護士が保護者の代理として学校側と交渉してくれます。
弁護士に相談する場合は、いじめ問題の実績の多い弁護士事務所に依頼しましょう。ただし、無料で相談できる場合もありますが、依頼後は着手金や報酬金として数十万円の費用がかかります。
いじめの問題を扱う公的な相談窓口
いじめの問題を扱っている公的な相談窓口を活用する方法もあります。全都道府県・指定都市の教育委員会が運営する相談機関で、フリーダイヤルのため無料で相談可能です。電話以外にもメールやLINEなどによる相談も行えます。相談窓口を紹介します。
24時間子供SOSダイヤル(保護者も可):0120-0-78310
子どもの人権110番(保護者も可):0120-007-110
インターネット人権相談受付窓口(保護者も可):
※受付窓口が一時停止している場合もあるため、ホームページで確認の上で利用しましょう
上記以外でも都道府県や自治体ごとにいじめに関する相談窓口が設置されています。臨床心理士や児童相談所、教育委員会、警察など、必要に応じてほかの機関などとも連携が可能なため、どこに相談すればいいのかわからないという場合にもおすすめです。
いじめ問題に取り組む民間団体
NPO法人などのいじめ問題に取り組む民間団体も多数あり、いじめに関する相談ができます。基本的にはいじめ被害に悩んでいる人を対象にしていますが、具体的な相談先や専門家などを紹介してもらうことも可能です。
また、相談窓口がたくさんあるとわかるだけでも、孤立を防げます。困ったときは家族だけで悩まず、誰かに相談できると思えることも大切です。
チャイルドライン(18歳までの子ども専用電話):0120-99-7777
どこに相談すればいいのかわからないという場合は、以下のサイトから検索できます。現在の悩みや状況、キーワードを設定後に検索すると、相談が可能な窓口の連絡先や基本情報を閲覧できるため、ぜひ利用してみてください。
生きる支援の総合検索サイト:いのちと暮らしの相談ナビ[全国版]
いじめ問題で実績が多い探偵
いじめの冤罪を解決した実績のある探偵に依頼することも可能です。探偵に依頼した場合、証拠や証言を集めたり、学校や加害者を訴えるための確証を揃えたりする際に有効です。調査の種類や期間によって費用は異なりますが、一般的に1日数万円程度の調査料(時間単位制・経費・成功報酬込み)がかかります。
とくに、学校側へ法的な措置を取りたいというケースでは調査期間などもかかるため、数十万円の費用が必要になるケースもあります。とはいえ、保護者が学校内で起きていることを正確に把握することは難しいでしょう。調査に長けた探偵に依頼するほうが、効率よく証拠や証言を集めることができます。
我が子のいじめの冤罪を晴らすために保護者がすべきこと
いじめの冤罪を晴らすには、本当のいじめの加害者を探し出す必要があります。同時に、加害者がいじめを行っているという証拠や証言が欠かせません。そのために、保護者がすべきことを解説します。
子供を傷つけないよう言葉を選んで聞き取りをする
まずは、子供がいじめの冤罪にされた一連の流れを把握するために、子供から聞き取りをしなければなりません。このとき注意したいことは、子供を傷つけないように言葉を選んで質問することです。子供はいわれのない冤罪によって心が傷ついている可能性があります。
とはいえ、事を大きくしてから「本当は、我が子がいじめの加害者だった」では済まされません。子供から事実のみを聞き出す上で、「本当にあなたはいじめをしていないのね?」と一度は打診しなければならないでしょう。
このとき、「あなたのことは信じているけれど、あなたの口から『いじめはしていない』という言葉が聞きたい」というように、いじめが冤罪であることを信じているという前提で質問していると、子供にわかるように話をしましょう。
物的証拠を保管する
いじめの冤罪を晴らすためには、証拠となるものを集めて保管しておくことも大切です。「いつ、どこで、誰が、誰に、何をしていた」という記録やメモをとっておくことで、発言内容の相違や論理破綻を見抜く際に、重要な証拠となる場合があります。
ほかにも、いじめに関するLINEなどのトーク履歴や写真、音声なども有効な証拠となります。もしも、学校側と保護者で話し合いの場が設けられるときは、そのやり取りを録音しておくことも1つの方法です。ただし、素人が、学校という閉ざされた場所で起こるいじめの証拠を見つけることは難しいでしょう。
いじめ問題に詳しいプロに依頼する
いじめの冤罪を証明する決定的な証拠を見つける方法として、調査や証拠集めに長けたプロに依頼することも可能です。調査や証拠集めには、方法や手段、コツ、合法かどうかを把握している必要があります。
いじめ問題に詳しい弁護士や探偵であれば、適切な調査や証拠集めを行ってくれます。そのため、自分で証言を集めようとして子供のクラスメイトに話を聞いただけで、その保護者や学校側からクレームを受ける、トラブルになるなどのリスクを減らせます。
いじめの冤罪を晴らした事例を紹介
ここでは、いじめの冤罪を晴らした事例について紹介します。
保護者自ら我が子のいじめの冤罪を晴らした事例
1つ目は、保護者が学校側の言い分を冷静に分析したことで、我が子のいじめの冤罪を晴らした事例です。学校側は、いじめを訴えた1人の女子生徒とその親の意見だけで、一方的にいじめの加害者だと決めつけていました。そのことを伏せ、学校側は「Aくんがネットパトロールに引っかかったので、Aくんの携帯を学校で没収します」と、Aくんの保護者に連絡したのです。
Aくんの保護者が学校側に質問しても「詳細はわからない」の一点張りだったため、不審に思ったAくんの保護者は、ネットパトロールの仕組みや警察・教育委員会・学校の連携の仕方などを独自に調べます。
それにより、学校側の説明に矛盾があることを突き止めたのです。後日、Aくんの保護者は学校に出向き、学校側の矛盾をつき、説明を求めたところ、学校側はネットパトロールと嘘をついたことを認めました。
また、話し合いを重ねる中で、学校側にいじめを訴えた女子生徒の発言は、すべて嘘であることが明らかになりました。この女子生徒は、嘘のいじめを告発することでAくんを陥れようとしていたのです。Aくんの保護者は、学校側から謝罪を受け、見事、我が子のいじめの冤罪を晴らすことができました。
この事例の成功ポイントは、Aくんの保護者が学校側の言い分を鵜呑みにせず、冷静に対応したことです。Aくんと学校側の両者から事情を丁寧に聞き取り、小さな疑問を一つひとつ確認したことが真実を見つけ出すきっかけとなったのです。
いじめ問題の実績が多い探偵に依頼して冤罪を晴らした事例
2つ目の事例は、いじめ問題の実績が多い探偵に依頼したケースです。いじめの加害者に仕立てられた女生徒Aさんは転校先の学校で、クラスメイトからいじめ被害を受けていました。ある日、体調が悪く保健室で休んでいたところ、クラスメイトに漂白剤入りの水をかけられてしまいます。
しかし、学校側は個別面談を行いましたが、Aさんが自作自演をしたと一方的に結論づけたのです。Aさんの保護者は、娘の冤罪を晴らすため探偵に依頼しました。探偵は保健室での出来事を再現することでAさんの自作自演が嘘であることを証明します。さらに、Aさんの友人グループやクラスメイトなどに調査を協力してもらうことで、いじめの加害者をあぶり出し、Aさんのいじめの冤罪を晴らすことに成功しました。
この事例の成功ポイントは、いじめ問題の解決実績が多い探偵に依頼したことです。依頼費用はかかりますが、探偵の経験や知識によって、保健室での再現や証言・証拠集めをスムーズに行った結果、いじめの冤罪を晴らすことにつながったのです。
いじめの冤罪で泣き寝入りする必要はない
いじめの冤罪は、真実がどうであれ、発言力の大きな人や組織によって生み出されます。本当のいじめの加害者が他人に罪をなすりつけるケースや、組織が世間体や保身のために適切な対応をしないケースも少なくありません。
しかし、上記で紹介したいじめの冤罪を晴らした事例からもわかるとおり、いじめの冤罪を晴らす方法は存在します。決して、いじめの冤罪で泣き寝入りする必要はありません。もしも、いじめの冤罪で悩まれているのなら、いじめに関する相談窓口に問い合わせることから始めてみましょう。