なぜ日本でハーフはいじめられるのか?理由と対策
日本生まれ・日本育ちであっても、ハーフというだけでいじめられる人がいます。なぜ日本で、そのようないじめがなくならないのでしょうか?今回は、ハーフがいじめられる理由や対策について紹介します。
ハーフがいじめられる理由とは?
ハーフがいじめられる理由は、人によってさまざまです。実際に、ハーフの人がどのような理由でいじめられているのかについて紹介します。
見た目の違い
ハーフがいじめられる理由として多いのは、日本人でありながら外見に大きな違いがあることです。中国や韓国などのアジア圏の人であれば、ハーフだと言わなければ相手も気付かないかもしれません。
しかし、欧米やアフリカなどにルーツを持つハーフの場合、肌や髪の毛、瞳の色などが日本人と異なることから、いじめのターゲットにされやすいのです。
言語や文化の違い
言語や文化などの違いがいじめられる理由になります。たとえば、外国人の母親は日本語が話せず、家庭内では母国語で会話をするため、日本語の習得が遅れ、自然な発音で日本語が話せないという人もいるかもしれません。特徴的な話し方をすることで、いじめにつながる場合があります。
また、宗教観の認識のズレから、服装や習慣、食べものなどの違いから、いじめやからかいにつながることも多いです。
親が外国人だから
父親、母親のどちらかが外国人というだけで、いじめられる場合があります。このように、いじめられる理由が存在しないにもかかわらず、いじめのターゲットにされてしまうのです。
子供は親を選べませんから、非常に不条理な理由でいじめられていることがわかります。
ハーフという存在に対して恐れや嫌悪感がある
ハーフや外国人と触れ合う機会が少ない人の場合、ハーフという存在に対して恐れや嫌悪感を抱く人も少なくありません。日本は四方を海に囲まれた島国で、大陸続きの国よりも外国人と関わる機会が歴史的に見ても少ない国です。西洋文化を取り入れたのも明治時代のことで、戦時中は外国人を恐れるような政策や教育が行われていた歴史的な背景もあります。
過去の歴史が現代のすべてを構築したとは言えませんが、現代でも、ハーフや外国人に対する偏見は少なからず残っていることが、いじめにつながっているのかもしれません。
ルーツの国に対する先入観
ルーツの国に対する先入観が理由で、ハーフがいじめられることがあります。たとえば、貧困や親日国以外の国に対するイメージをハーフに感じる人も少なくありません。
本来、特定の国に対するネガティブなイメージと、その国をルーツに持つハーフへの印象が同じであってはならないはずです。しかし、一部の人は一時的な感情や不完全な知識をもとにハーフに対してネガティブな印象を抱いてしまうため、いじめに発展してしまうのでしょう。
ハーフがいじめや差別だと感じること
日常生活の中でも、ハーフがいじめや差別だと感じることがあります。具体例をいくつか紹介します。
「ガイジン」「ハーフ」と呼ばれ、日本人として扱われない
一般的な日本人と外見に違いがあることから、ハーフの人は「ガイジン」や「ハーフ」と呼ばれています。中には、何の悪意もなく言葉にしている人も多いです。
しかし、ハーフの人からすると、同じ日本人なのに一方的に「ガイジン」や「ハーフ」と呼ばれることに嫌悪感を抱いてしまいます。ハーフの人は日本人として扱われないことに、憤りを感じているのです。
日本で生まれ育ったのに「外国語で話して」「どこの国籍?」と言われる
ハーフの人は日本で生まれ育ったのにもかかわらず、「外国語で話してよ」「どこの国籍ですか?」「日本語が上手ですね」と言われた経験を持つ人が多いです。
たまたま親の1人が外国人というだけで、ほかの日本人とは何ら変わりはありません。外国にルーツがあるという事実のみで、「ハーフ=外国語、外国籍」という偏見を持たれてしまいます。
公共機関でハーフの人の周りに座りたがらない
日本在住の外国人の間で「ガイジンシート」と呼ばれるフレーズがあります。ガイジンシートとは、公共機関で外国人が座ると両隣が自然に空くという現象のことです。日本人の多くは外国人と接する機会が少なく、外国語にも長けていないため、自然と外国人を避けてしまいがちです。
外国人に似た風貌を持つハーフの人にとっても、ガイジンシートは他人事ではありません。座った座席の両隣が空く度に日本人として見られていないことを実感させられてしまうのです。
見た目だけで外国人登録証の提示を求められる
ハーフの人の中には、街を歩いているだけで「外国人登録証を見せなさい」と警察官に呼び止められた経験を持つ人も少なくありません。日本人だと言っても信じてもらえない場合も多いようです。ハーフの人は何も悪いことをしていなくても、見た目だけで判断されてしまいます。
買い物中に店員にマークされる
ハーフの人は買い物中も気が抜けません。普通に商品を手に取って見ているだけなのに、店員からの視線を常に感じたというケースも少なくありません。とくに、貧困や治安の悪さをイメージさせる外国人に風貌が似ていると店員にマークされやすくなります。
ハーフの人がその場所を離れた途端に、店員が商品の個数を数え出すといった行動を取ることもあります。
ハーフへのいじめ対策【学校編】
ハーフが学校でいじめにあわないための対策を紹介します。
自分からハーフであることを明かさない
まずは、自分がハーフであることを積極的に明かさないことです。ハーフであると明かすことで、いじめにあうリスクを高める可能性があります。とはいえ、ハーフであることを絶対に悟られてはいけないというわけではありません。
見た目や文化、習慣などによってはハーフだと聞かれたり、親友にだけは自分のことを理解してもらいたいと感じたりする場合もあるでしょう。そのときのシチュエーションでハーフだと伝える必要性があると感じれば、正直に伝えれば良いのです。
ただし、ごまかしたり曖昧な受け答えをしたりすれば、相手はあなたをイジる楽しさを覚え、頻繁にちょっかいを出してくるかもしれません。自分がハーフだと伝えるときは、「私はハーフだけど、生まれも育ちも日本だし、みんなと同じ日本人だよ」と、顔を上げて胸を張って相手に伝えましょう。伝え方がわからない場合は、事前に親や学校の先生に相談してみるのも1つの方法です。
ハーフや外国人の多い学校に通う
いじめを受ける可能性が低い学校を選ぶことも大切です。公立よりも私立や国立の学校を選ぶ、インターナショナルスクールに通学するなど、ハーフや外国人の多い国際色が豊かな学校に進学するという選択肢もあります。
ただし、注意が必要なのは学校教育法で認可を受けた学校ではない教育施設に通学しても、義務教育を受けたことにならないことです。インターナショナルスクールなどに通学したい場合は、国から認可を受けた学校なのか、ハーフや外国人の生徒はどれくらいの割合なのかなどの情報を集めることから始めましょう。
実際にインターナショナルスクールに通学している子供がいる家庭や、過去に通学していた人などに、メリットやデメリットなどを聞いてみるのも良いでしょう。
(参考)文部科学省「学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について」
ハーフへのいじめ対策【会社編】
ハーフへのいじめがあるのは子供だけではありません。社会人になっても、ハーフへの偏見を態度で表す人もいるため、会社での振る舞いに注意する必要があります。
日本の文化やマナーを学ぶ
日本では、名刺交換をする、上司の顔を立てる、上司から飲みに誘われたら素直に参加するなどの暗黙のルールと呼ばれるようなものが非常に多いです。このような、日本の文化やマナーを学んでおくことで、社内でのいじめにあうリスクを減らすことができます。
外見の違いから、「ハーフの人=外国人」と決めつける人も少なくありません。そのため、教わる機会がなかったことに対しても「ハーフだから日本の文化やマナーは知らないだろう」という偏見を持たれ、いじめや差別につながることがあります。
だからこそ、日本の文化やマナーをよく理解した行動を取ることで、日本人であることを社内外にアピールすることが大切なのです。
外資系や外国人との関わりが多い企業に就職する
就職や転職を検討中なら、外資系や外国人との関わりが多い企業や業界を選ぶことをおすすめします。ハーフの人がいじめられる理由の1つに、ハーフや外国人と触れ合う機会がないことと、上記で紹介しました。
仮に、日本人の両親を持つ人ばかりの企業に就職した場合、ハーフや外国人と触れ合う機会が少ない人たちが上司や同僚になる機会が増え、いじめの可能性も高まります。その点、外資系や外国人、海外との関わりが多い企業なら、日頃から仕事で接する機会が増えるため、ハーフの人に偏見を持たずに自然な態度で接してくれるでしょう。
このように、ハーフの人への偏見が少なそうな企業や業界を選ぶことで、いじめにあうリスクを最小限におさえることができます。
飲みにケーションで同僚や上司と信頼関係を築く
飲みにケーションを上手に活用して、同僚や上司との信頼関係を築くことがいじめ防止につながる場合があります。飲みにケーションはお酒が入ることで、普段は言えない相手の本音やプライベートの話を聞ける場合があります。それにより、相手との共通点が見つかったり、相手の誤解を知って弁明したりすることもできます。
同僚や上司と良好な関係を築くことができれば、ほかの社員との信頼関係も築くきっかけになるかもしれません。勇気を振り絞って、飲みに誘ってみてはいかがでしょうか。
ハーフへのいじめ対策【家庭編】
ハーフがいじめにあわないためには、普段からの心の持ち方も重要です。家庭内でできる対策を紹介します。
ハーフであることに誇りを持つ
ハーフであるというだけでいじめにあうリスクが高いことから、ハーフである自分や外国人である親を後ろめたく感じる人もいるでしょう。しかし、ハーフであることは1つの個性です。後ろめたさを感じたり、自己卑下をしたりする必要はありません。
弱さを見せれば、いじめっ子はその弱みにつけこんで、いじめや差別をしようとするでしょう。ハーフであることに誇りを持つことを忘れてはいけません。ハーフがいじめられるのは、日本の社会が精神的に未熟なだけなのです。
ハーフでも有名人や偉人がいることを知る
芸能界やアスリートなどにも有名人や偉人が存在します。ハーフであることに悩み、苦しんだ時期があったと過去を振り返る人も少なくありません。それはきっと、ハーフである自分を個性として受け止めることができたからこそ、過去の自分を振り返れたのです。
また、悩みや苦しんだ時期は、決して無駄にはなりません。悩んだ分だけ、精神的な成長につながります。
親子間の会話を大切にする
最後に、ハーフの子供を持つ保護者への対策を紹介します。ハーフの子供は、学校や職場でいじめや差別を受けるリスクを伴います。いざというときに、子供から相談してもらえるような関係性を築くことが大切です。
そのためには、日頃から親子間の会話を大切にしましょう。ささいな会話を日常的に積み重ねることで、子供から話しかけやすい環境を整えることができます。
また、子供の表情や態度を注意深く観察しましょう。子供の表情が暗い、態度がいつもと違うなら、さりげなく話しかけてみてください。子供が話したがらないことは無理に聞き出そうとしないでください。
そのかわり、「いつでもいいから、話したくなったら話してね。お母さん(お父さん)は、あなたの味方だからね」と伝え、子供から話してくるのを待ちましょう。