ストーカーを捕まえるためのストーカー規制法以外の刑法を5つご紹介

ストーカーを捕まえるためには、警察に動いてもらう必要があります。警察は、ストーカーに対して警告や禁止令を出し、ストーカー規制法に則り、ストーカーを捕まえようとしてくれます。ストーカーは執拗な行動を取り、ストーカー規制法で捕まえることができる場合もあれば、捜査の中でストーカーをその他の罪で捕まえるケースもあります。

その他の罪というのはどういた罪でストーカーを捕まえるケースがあるのか、5つご紹介します。

刑事犯罪とは?

そもそも、刑事犯罪とは何か?簡単にご説明します。

刑事犯罪とは刑法に違反した犯罪行為のことです。刑法には、さまざまな犯罪行為が規定されています。刑法で規定されている要件を満たしている犯罪行為については、刑事犯罪として警察が取り締まることができます。警察には、刑事犯罪をしたものを捜査して逮捕する権限が与えられているからです。ストーカー行為のなかにも、刑事犯罪に該当するものが多数含まれています。

刑法には刑事罰が定められている

刑法の大きな特徴は、刑事犯罪に対する罰則が定められていることです。それが刑事罰であり、懲役刑や罰金刑が規定されています。たとえば、3年以下の懲役または200万円以下の罰金といった形で定められているものが多いです。

基本的に刑事罰の懲役刑や罰金刑については、犯罪ごとに上限が定められています。個別のケースで、それぞれの犯罪者が具体的にどのくらいの刑事罰を受けることになるのかは、最終的に裁判所が決めることです。

ストーカー規制法は刑法である

ストーカー行為に罰則を与えるための法律であるストーカー規制法は刑法です。ストーカー規制法では、ストーカー行為に対する処罰が定められています。

下記の通りの罰則が定められています。
・ストーカー行為をしたものは、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・禁止命令等に違反してストーカー行為をしたものは、2年以下の懲役または200万円以下の罰金
・禁止命令等に違反したものは、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

ストーカー規制法以外の刑法でもストーカー行為を処罰できる

ストーカー行為のなかには、ストーカー規制法による取り締まりが困難なケースもあります。その場合は、ストーカー規制法以外の刑法によって、ストーカー行為を処罰するという方法があります。何らかの刑法に違反しているならば、警察に動いてもらうことが可能です。どの刑法で取り締まることができるのか知っておくことは大切です。

住居侵入罪

住居侵入罪とは、正当な理由がなく人の住居などに侵入したときに成立する犯罪のことです。たとえば、居住者が侵入を拒んでいるにもかかわらず侵入する行為は、住居侵入罪にあたります。住居侵入罪における住居は幅広い概念となります。邸宅や建造物、ホテルの部屋、艦船などが含まれています。

住居侵入罪は未遂であっても罪に問われます。たとえば、塀を上ろうとしているところを見つかれば、未遂罪として罪になります。

住居侵入罪で逮捕されるケースとしては、のぞきや盗撮、ストーカー、窃盗、強盗などの目的による侵入があります。

住居侵入罪に該当するストーカー行為

たとえば、ストーカー加害者が被害者の住宅に侵入するケースは少なくありません。それが、たとえ窃盗やわいせつなどを目的としたものではなく、単に興味本位で侵入しただけでも、住居侵入罪は適用されます。家の敷地内に侵入して被害者が帰ってくるのを待ち伏せするというケースもあります。たとえ、ドアの前で待ち伏せしていただけでも、正当な理由なく敷地内に勝手に入りこんでいるのであれば、住居侵入罪に当てはまります。

また、ストーカーの場合は、住居侵入して、被害者のものを盗んだり、ポストの中身を確認したりするケースもあります。住居侵入罪では、2つ以上の犯罪行為が行われるケースが多いです。この場合は、罪の重い刑のみが適用されることになります。

住居侵入罪の罰則

3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

ただし、よほど大きな被害が発生していない限りは、いきなり実刑判決を受けることは少ないです。常習犯であり、反省の色がまったく見られないようなケースでは懲役となる可能性もあります。

強要罪

強要罪とは、他人を脅迫して、相手に義務のないことを行わせようとする犯罪のことです。こちらは、似た脅迫罪よりも大きな罪であり、ストーカー以外にもさまざまなケースで発生することが多いです。たとえば、お店で顧客が従業員に対して過度なクレームをする場合も、土下座を要求するようなケースでは強要罪が適用されることがあります。

脅迫罪と強要罪の大きな違いは、義務のないことを相手に命令や要求したのかという点です。

強要罪に該当するストーカー行為

ストーカー行為において強要罪が該当するのは、ストーカーが被害者に交際を要求するケースが多いです。単に自分と付き合って欲しいと告白するのではなく、交際しなかったら暴力を振るうなど相手を脅迫する行為が含まれていると強要罪に該当します。

強要罪の罰則

強要罪の罰則は3年以下の懲役です。罰金刑がなく懲役刑だけなのは、それだけほかの犯罪よりも罪が重いからです。また、強要罪は、命令した行為を被害者が行わなかった場合でも未遂罪として処罰されます。そのため、ストーカーから脅迫を受けて交際を強要されたならば、交際を受けても断っても、いずれにしてもストーカーを罰することが可能です。未遂罪の場合であっても、罰則は3年以下の懲役とされています。

名誉毀損罪

他人の信用や名声など人格的な価値を違法な手段によって低下させることを名誉毀損といいます。名誉毀損が成立してしまうと、刑事責任を問われる可能性があるだけではなく、損害賠償を請求されることもあります。ただし、他人の社会的な信用を低下させる行為のすべてが名誉毀損とされるわけではありません。

まず、公然の場で不特定多数に対してなされた行為であることがポイントです。また、公言された内容が真実であったとしても、嘘であったとしても、社会的な信用を低下させる行為であれば名誉毀損は成立します。

たとえば、ある女性が実際に風俗で働いており、それを周りの人に言いふらすような行為などです。

公然の場というのは、インターネット上も含めます。たとえば、ネット掲示板に名誉を毀損するような内容の書き込みをした場合も、名誉毀損罪に該当します。

名誉毀損罪に該当するストーカー行為

ストーカー被害のなかには、ターゲットに関する情報を、嘘のものも含めて周囲に公言するようなケースがあります。たとえば、自分の好意を受けとめてくれなかった女性を恨んで、その女性は風俗で働いている、不特定多数の男性と性交渉をしているなど、嘘の情報を言いふらして復讐するといったケースです。あるいは、被害者と自分は付き合っている、不倫しているなど、嘘の情報を周りに言いふらすというパターンもあります。

名誉毀損罪の罰則

3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

信書開封罪

正当な理由がないのに封のされている信書を開封する行為は、信書開封罪といって罪になります。信書にはさまざまなものが該当します。書状や請求書、許可書、証明書などが含まれます。ただし、信書に該当しないものもあります。たとえば、新聞や雑誌など書籍の類です。また、クレジットカードや会員カードなどの類も信書ではありません。

信書を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
信書に該当するもの(日本郵便)

また、封がされていない信書を見ることは罪ではありません。ただし、他人の家のポストを漁るのは、他人の敷地内に入れば住居不法侵入罪となります。また、何かを盗む意図があれば、窃盗未遂が成立する可能性もあります。

信書開封罪に該当するストーカー行為

たとえば、ストーカーがターゲットの自宅に行って、ポストのなかのものを勝手に見るケースがあります。封がされている信書を開封すれば、その段階で信書開封罪が適用されます。開封して中身をチェックすることで、ストーカーは個人情報を入手しようとします。それによって、さらに住居不法侵入など別の被害が発生する可能性もあるでしょう。

信書開封罪の罰則

1年以下の懲役または20万円以下の罰金です。

信書開封罪は親告罪です。したがって、被害者が告訴しなければ事件化することはありません。仮にストーカーを信書開封罪で訴えるためには、警察に告訴状を提出する必要があります。

脅迫罪

相手に不安や恐怖を与える行為を脅迫罪といいます。具体的には、生命や身体、自由、名誉、財産に対して害を与えることを告知する行為のことです。したがって、さまざまな言動が脅迫罪の対象になる可能性があります。たとえば、以下の通りです。

「殺してやる」
「殴ってやる」
「お前の秘密を世間に公表する」
「お前の車を壊す」

基本的には、ただの口喧嘩のようなケースで脅迫罪が成立することは少ないです。ただし、ストーカーから被害者に対して脅迫めいた発言や態度などが向けられた場合には、脅迫罪が成立する可能性は高いでしょう。

たとえ、加害者が冗談のつもりだったとしても、被害者が恐怖や不安を感じたのであれば、被害届が出される可能性があり、事件化することがあります。

脅迫罪に該当するストーカー行為

ストーカーによる行為が脅迫罪に該当して検挙されたというケースは過去にたくさんあります。たとえば、ストーカーから逆恨みされて「お前を殺してやる」などと言われるケースがあります。ストーカーからの好意を拒否したり無視したりすることで恨まれてしまい、脅迫されるケースです。

浮気相手と別れたら相手がストーカー化してしまい、「浮気していることを配偶者にばらす」と脅されるケースもあります。この場合も、脅迫罪に該当します。

脅迫罪の罰則

2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

ただし、初犯で悪質ではないとみなされると不起訴のケースが多いです。また、略式起訴として罰金刑になることもよくあります。

まとめ

ストーカーはストーカー規制法以外の刑法によって検挙されるケースが少なくありません。場合によっては、ストーカー規制法で罰則するよりも早く事件化してストーカーを検挙できる可能性があります。ストーカーの行為がどういった刑法に該当して処罰の対象となるのか知っておきましょう。

ストーカー対策と調査の料金・費用相場

ストーカー対策と調査の1日あたりの相場:

約12.4万円

ストーカー対策と調査の料金・費用の割合

10万円未満 --件 (--%)
10万円~30万円未満 --件 (--%)
30万円~50万円未満 17件 (12.7%)
50万円~70万円未満 39件 (29.1%)
70万円以上 78件 (58.2%)