ストーカー被害に対する警察の対応

ストーカー被害に遭っている人は、どうにか現状を打破して解決したいと思っていることでしょう。不安で不安で仕方がないと思います。

一番頼りにしたいのが、警察です。実際、ストーカー被害に遭った、遭っていると感じたらまっさきに警察に相談するのが一番望ましいです。

では、相談に行った警察は、ストーカーでどういった対応をしてくれるのでしょうか。この記事では、その対応をご紹介します。

ストーカー被害への警察の対応と流れ

警察に被害届を出す

ストーカーの被害で警察に動いてもらうためには、犯罪の被害にあったことを警察に伝えなければいけません。それが被害届であり、被害を受けた本人が警察に申告をするための書類です。捜査機関が被害届を受理することで、刑事事件の疑いがある事態が発生したことを認知します。そのあとで、捜査機関が具体的な捜査を開始するのです。被害届には、被害者の個人情報や被害のあった日時・場所、犯人の特徴といった情報を記載します。

警察がストーカーに職務質問を行う

被害届を受理したあとで、警察は被疑者に対して職務質問をします。実際に被疑者を呼び止めて質問を行います。これは犯罪を予防する意味合いがあります。捜査の手始めとして行われることが多いです。たとえば、身元紹介をしたり、所持品検査をしたりします。ただし、職務質問に関してはあくまでも任意であり、断ることは可能です。

警察がストーカーに警告

ストーカー被害では、いきなり逮捕や書類送検に進むのではなく、まずは警察のほうから加害者に対して警告を出すことが多いです。この段階でストーカー被害が収まるケースも珍しくありません。ただし、警告を無視してストーカー行為が続けて行われることも多いです。警告はあくまでも行政指導であり、法的拘束力はないからです。警告が無視された場合には、次の段階に進むことになります。

警察がストーカーに禁止令

禁止令は警察から加害者に対して禁止等命令書を交付することで行われます。警告とは異なり禁止令を出して、まだストーカー行為が続くと行政処分となるのが大きな特徴です。ただし、事前手続きとして、加害者の言い分を聞くための聴聞が実施されることがあります。有効期限は1年間であり、延長制度もあります。実施するためには長い時間がかかることもあるため注意しましょう。

禁止令を出すことでストーカーの被害が収まるケースもあります。

警察がストーカーを逮捕、もしくは、書類送検

ストーカー規制法違反、あるいは刑法違反としてストーカー加害者を逮捕や書類送検します。罪が認められれば、罰金か懲役刑となります。ストーカー規制法違反であれば、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処されます。強要罪や住居侵入罪などで起訴された場合には、それぞれ定められた処罰が適用されます。

必ずしも、警告、禁止令、ストーカー規制法違反の流れで逮捕ではない

上記はあくまでも一般的な流れです。ストーカー被害者が警察に相談に行き、警察がストーカーをマークしている際に、その他の刑法違反で逮捕されるケースもあります。

また、禁止令を省いてストーカー規制法違反で逮捕されるというケースもあるので、証拠の確実性や重大さがあれば、スピーディな決着の可能性もあるでしょう。

逮捕と書類送検の違いとは?

身柄を拘束するかどうかの違い

逮捕と書類送検の違いは、身柄を拘束するかどうかの違いです。逮捕されれば、自由を束縛されることになります。取り調べを受けるのですが、それ以外の時間はすべて勾留されたままとなります。一方、書類送検の場合は、取り調べのときに警察のほうへ行く必要がありますが、それ以外の時間については普段と同じ生活を続けることが可能です。

したがって、逮捕と書類送検で罪の重さに違いがあるわけではありません。そもそも、どちらの場合も、まだ罪は確定していません。起訴するかどうかを判断するための捜査の間に、身柄を拘束するかどうかに違いがあります。最終的に起訴することになれば、裁判所の審判にかかり、罪が決まります。

逃亡や証拠隠滅を行う可能性がない場合は書類送検される

逮捕するか、書類送検するかの判断は、被疑者が逃亡や証拠隠滅をする可能性があるかどうかで判断されます。そのため、比較的軽い事件の場合に書類送検になるケースが多いです。ストーカーの被疑者については、ケースバイケースとなります。被害が悪質な場合ほど逮捕される可能性が高いでしょう。

警察に捕まえてもらうために必要なこと

ストーカーの証拠を集める

警察に被害届を提出する際には、ストーカー行為が確かに行われていたという証拠が求められます。証拠もないのに被害届を提出したとしても受理されない可能性が高いです。警察に動いてもらうためには、客観的な証拠を揃えておく必要があります。

たとえば、ストーカー行為のあった日時や被害内容、自分のした対処などをノートに記録しておくだけでも証拠となります。ストーカー行為が繰り返し行われた証明となるのです。できるだけ詳細な記録を残しておくとよいでしょう。たとえば、当日の天気なども記載されていると、証拠能力が高まります。

ストーカーから電話やメールなどが送られた場合は、音声データや文章を残しておきましょう。手紙やプレゼントなどを置いていった場合は、現物そのものを証拠として保管しておきます。

できるだけたくさん証拠があれば、ストーカー被害の信憑性が高まるため、警察が真剣に動いてくれるようになります。

相手の氏名や住所など個人情報を集める

警察が被疑者に対して捜査するためには、加害者の個人情報が必要となります。加害者の個人情報がわからなくても、捜査してくれるケースはありますが、事前に加害者が判明していたほうが捜査はスムーズに進むでしょう。たとえば、ストーカーが顔見知りの場合には、加害者の詳しい個人情報を入手しておいて、被害届に記載するとよいです。被害届には、犯人に関する情報を記載する項目があるため、できる限り多くの情報を提供しましょう。

ストーカーの情報を集めるために、探偵に依頼することもひとつの手です。

被害届や告訴状を作成して提出する

警察にストーカーへの対処をしてもらうためには、まず被害届を作成して提出します。被害届の書き方は特に難しいものではありません。最寄りの交番や警察署で書類を受け取って、必要事項を記入してから提出しましょう。基本的には警察署に提出したほうがスムーズに手続きが進みます。また、被害届を出すことができるのは、被害者本人のみです。ただし、弁護士が代理人として提出することも可能です。

また、ストーカー加害者を刑事告訴したい場合には、警察に告訴状を提出します。告訴状については、特に書式に決まりはありません。必要事項を記載して提出します。基本的にはA4サイズの紙を縦に使って横書きで作成します。手書きでもパソコンでも構いません。必要な項目は下記の通りです。

  • 提出先
  • 告訴人
  • 被告訴人
  • 告訴の趣旨
  • 告訴事実
  • 証拠
  • 添付書類など
  • 作成年月日

告訴状は必ずコピーを作成しておきましょう。

告訴状は、突然警察に持っていっても受理されないケースが多いです。まずは、相談から初めて、被害届け、そして確実性が高く、重大さを表す証拠を集めて、ストーカーに罰を与えたいと思うときに告訴状を提出しましょう。

弁護士に相談する

ストーカーを逮捕したいならば、警察への手続きだけではなく弁護士にも相談しましょう。弁護士であれば、どのようにすればストーカーを逮捕できるのか、効果的なアドバイスをしてくれます。たとえば、どういった証拠であれば法的に認められるのか教えてくれます。また、告訴状などの書類を作成する際にも弁護士にチェックを受けるとよいでしょう。警察とのやり取りの際には弁護士に同行してもらうことも可能です。弁護士に相談したほうが、警察がスムーズに動いてくれる可能性は高いです。

ストーカーは非親告罪

ストーカー行為はかつて親告罪でした。それがストーカー規制法の改正によって、非親告罪となりました。これによって、被害者が告訴状を提出しなくても、警察や検察の判断によって、ストーカー加害者を起訴することが可能です。被害者は告訴することをためらうケースがありますが、そのような状況でも検察の判断で起訴できるようになります。悪質なストーカー行為を繰り返す犯人を逮捕、あるいは書類送検できるようになったのです。

たとえば、ストーカー加害者の家族や友人などが警察に相談して、事件化するケースもあります。この場合は、被害者の告訴がなくても、非親告罪のため、警察が捜査を進めて加害者を逮捕するケースもあります。

親告罪と非親告罪の違い

刑法に規定される犯罪行為のなかには、親告罪と非親告罪があります。親告罪とは、被害者の告訴がなければ起訴ができない犯罪のことです。このタイプの犯罪では、たとえ被疑者がどんな犯罪を犯したとしても、被害者が望まない限りは刑事裁判ができません。事実が明るみになることで被害者に不利益が生じるもの、あるいは親族間の問題が生じるものが親告罪に含まれています。親告罪の場合は、被害者が告訴を取り下げれば、起訴することができません。例えば、強姦罪などがあたります。

一方、非親告罪は被害者が起訴をするかしないかにかかわらず立件や起訴ができます。この場合は、被害者が起訴しないことを願ったとしても、検察官の判断で起訴が行われることがあります。たとえ、告訴を取り下げたとしても、検察が起訴をするという判断を取り消すことはできません。

まとめ

ストーカーの被害に対して警察はさまざまな対応をします。ストーカー加害者に対して警告や禁止令を出したり、逮捕や書類送検したりすることが可能です。ストーカーで困っているときには、まずは警察に相談しましょう。

ストーカー対策と調査の料金・費用相場

ストーカー対策と調査の1日あたりの相場:

約12.4万円

ストーカー対策と調査の料金・費用の割合

10万円未満 --件 (--%)
10万円~30万円未満 --件 (--%)
30万円~50万円未満 17件 (12.7%)
50万円~70万円未満 39件 (29.1%)
70万円以上 78件 (58.2%)