クレームストーカーとは?動機や対策について

クレームストーカーに悩まされている人がいます。企業やお店の接客や窓口を担当する女性が被害を受けているケースがあります。

この記事では、そんなクレームストーカーを詳しく解説するとともに、動機や対策方法などについてご紹介しています。

クレームストーカーとは?

仕事に対する苦情という名目で接客や窓口の担当者につきまとう顧客のことをクレームストーカーといいます。企業だけではなく自治体の窓口でもクレームストーカーによる被害が多発していて対応に苦労しているところは多いです。基本的に接客や窓口の担当をするのは若い女性が多く、クレームストーカーの被害にあいやすいのです。

加害者は恋愛感情を表に出さないのが特徴

たとえ、クレームストーカーの加害者が被害者に対して恋愛感情を抱いていたとしても、それを表に出すようなことはありません。恋愛感情によってしつこく被害者につきまとう場合は、ストーカー行為とみなせます。しかし、恋愛感情などが表に出ない場合には、会社や自治体としては普通の苦情と同様に扱わなければいけません。そうなると、対処が難しくなりやすいのです。

会社や警察に相談できず悩んでいる被害者が多い

プライベートな時間でストーカー被害にあう場合には、警察に相談しやすいです。しかし、仕事中にクレーマーからストーカーのようにつきまとわれる場合には、警察に相談しにくいでしょう。また、会社に相談するのもためらわれるケースが多いです。客観的には、クレームストーカーは普通の顧客と変わらず、ストーカーとは扱われにくいからです。仕事のことだから我慢して対応しなければいけないと考える人も多いです。そのため、クレームストーカーの被害に一人で悩んでしまいます。

クレームストーカーによる被害の実例

連日電話をかける

クレームストーカーから何度も電話がかかってくるというケースがあります。この場合は、わざわざ同じ担当者を指名して電話をかけてくることが多いです。たとえば、自治体の就労支援窓口で働いている女性が、求職者の男性から電話を毎日のようにかけられるというケースがあります。

担当制度を採用している場合は、男性は求職に関する相談をするという口実を利用して、同じ相手に対して執拗に電話をかけるのです。その結果、女性は精神的に追い詰められてしまいます。また、電話を頻繁に掛けられては、ほかの仕事をすることができなくなり、仕事にも影響が出てしまいます。

窓口に何時間も居座る

窓口で特定の女性に対して苦情を言い続けるクレームストーカーもいます。なかには、何時間も窓口の前に居座って、特定の女性に向かって態度の悪さを指摘したり、謝罪を要求したりする人もいるのです。このような行為が1回きりではなく半年以上にも渡って続けられたという事例もあります。

企業や自治体が毅然とした対応を取ることができず、黙認してしまった結果、クレームストーカーの被害が酷くなったのです。

執拗に謝罪を要求する

商品やサービスなどに文句をつけてクレームを入れてくる顧客はたくさんいます。それが、特定のスタッフに対してのみ行われる場合には、クレームストーカーの可能性が高いです。なかには、執拗に謝罪を要求するケースもみられます。たとえば、土下座するまでは許さないといって、実際に土下座が行われるまで連日訪れてくるようなクレームストーカーもいるのです。わざと因縁をつけて謝罪を要求することによって、相手との接点を保とうとするクレームストーカーもいます。

慰謝料請求の裁判を起こされる

クレームストーカーのなかには、単に苦情を言うだけではなく、慰謝料請求まで行うケースもあります。たとえば、担当者に好意を抱いてしまい、執拗に話しかけたり、交際を要求したりして、それを断られたためにクレームストーカーになることがあります。担当者を逆恨みして、謝罪を求めるだけではなく、自分は精神的に傷ついたから慰謝料を請求したという事例があります。実際に担当者個人に対して慰謝料請求のための裁判を起こしたというケースまであるのです。

クレームストーカーへの対処が難しい理由

ストーカー規制法の適用対象になりにくい

クレームストーカーは、加害者が顧客であるのが特徴です。また、つきまとい行為をしたとしても、その行為はあくまでもクレームという口実で行われます。さらに、加害者は恋愛感情を表に出すことは基本的にありません。これらは、ストーカー規制法による規制の対象外となります。

ストーカー規制法で規制されているつきまとい行為とは、恋愛感情などを目的としたものに限られます。仮に警察に通報したとしても、クレームストーカーは自分が顧客であり、担当者に恋愛感情を持っておらず、苦情を言っているだけだと説明するでしょう。こうなると、警察は対応することが難しくなります。

会社側がまともに対処しないケースが多い

企業にとっては、どんなに迷惑な行動を取る人であっても顧客であることに変わりありません。もちろん、従業員を守るためにクレームストーカーに毅然とした対応を取るケースもあります。しかし、企業のなかには、クレームストーカーの存在をそれほど問題視せず、まともに対処しないところも多いです。対処しようとしてトラブルが余計に拡大してしまうことを恐れます。担当者さえ我慢すれば解決できると従業員をないがしろにした考え方をしている企業もあるのです。

相手が顧客なので受け入れる人が多い

企業側だけではなく担当者側も、迷惑な顧客の存在を受け入れる人が多いです。接客や窓口を担当しているスタッフは、日頃から数多くの人たちを相手に仕事をしています。そのなかには、いわゆるクレーマーと呼ばれる人たちは大勢います。一般的なクレーマーとクレームストーカーは、客観的にはそれほど大きな違いはありません。厄介な顧客を相手にするのも自分の仕事だと受け入れてしまう人が意外と多いのです。わざわざ上司に報告したり、警察に通報したりすることもなく、我慢してクレームストーカーに対応している人がたくさんいます。

クレームストーカーの動機

親切な対応を好意と勘違いする

顧客に対して接客や窓口の担当者はできるだけ親切な対応をします。それは、あくまでも仕事上の態度であり、マニュアルにも記載されていることです。しかし、顧客のなかには、担当者の親切な対応を好意からのものであると勘違いすることがあります。

このような人がクレームストーカーに発展する可能性が高いです。担当者が自分に好意を抱いていると考えると、何度も同じ担当者に接触しようとします。そこで、担当者は強く拒絶することができず、親切な対応を続けることが多いため、クレームストーカーの被害が続いてしまうのです。

自分の好意を受け入れない担当者への恨み

担当者から自分は好意を受けていると考えたクレームストーカーのなかには、交際を要求する人がいます。しかし、担当者は当然その要求を受け入れることができず断ることが多いでしょう。その結果、クレームストーカーは相手を逆恨みしてしまうケースがあります。自分の気持ちが弄ばれたと解釈する人もいます。その結果、担当者に対して執拗に苦情を寄せるようになり、謝罪を要求することもあります。最終的には、裁判を要求するような状況にまで発展する可能性もあります。

優越感に浸れるから

担当者は顧客に対して強い態度に出ることができません。常に下手に出て対応することが求められるのが接客や窓口の仕事です。そこで、クレームストーカーのなかには、優越感に浸る目的で執拗に担当者につきまとうケースが出てきます。どれだけ自分が強く担当者を責め立てても、担当者は逆らわないため、味をしめるのです。

クレームストーカーを法的に対処できるケース

不退去罪の適用

お店や役所などに来たクレームストーカーに対して「お引取りください」と頼み、それに応じなければ、刑法130条に定められる不退去罪が適用されます。正当な理由がなく他人の敷地内に居座る行為に対して適用される罪状であり、3年以下の懲役、または10万円以下の罰金となります。たとえば、謝罪をするまでは帰らないと言い張っているようなケースに適用できます。刑事罰のため、警察に通報することで対処することが可能です。

威力業務妨害の適用

スタッフが止めているにもかかわらず大声を出し続けるような行為をした場合には、刑法234条の威力業務妨害が適用されます。3年以下の懲役または50万円以下の罰金が定められています。大声を上げるだけではなく、机を叩く、ものを蹴るといった行為にも適用できます。その場にいる人に迷惑をかける、恐怖を与えるといった行為がみられるならば、威力業務妨害に相当するため、警察に相談しましょう。

強要罪の適用

土下座や謝罪文などを担当者に強要する行為は、刑法233条の強要罪が適用されます。3年以下の懲役という罰則が定められています。本来の義務を超えた行為を要求したり、償いを求めたりするのは、強要罪が該当する可能性が高いです。

迷惑防止条例の適用

それぞれの自治体は迷惑防止条例を定めています。つきまといや粗暴、盗撮、痴漢、のぞきなど、さまざまな行為が迷惑防止条例に含まれています。クレームストーカーの被害を受けている担当者が、苦情という名目のつきまとい行為などで迷惑しているならば、たとえ加害者の恋愛感情が隠されていたとしても、迷惑防止条例の適用ができるケースがあります。

クレームストーカーに企業ができる対処

法律知識に詳しい担当者を配置する

クレームストーカーの行為は、法的に考えれば違法であると解釈できるものです。そこで、法律知識を十分に身につけた担当者を配置することは、クレームストーカーに対して効果を発揮します。法的に無茶な要求を受けたときには、そのことをすぐに指摘して、対処することができます。

毅然とした対応を取る

クレームストーカーに対しては、普通の顧客と同じような態度で接してはいけません。下手に出てしまうと、相手は調子に乗ってしまい、さらに被害が酷くなってしまいます。要求をされたとしても、それはけっして了承してはいけないものです。毅然とした対応を取り、無茶な要求をはねつけることが求められます。

対応マニュアルを整備する

クレームストーカーは、接客や窓口などの仕事ではどこにでも発生するものです。そこで、どのように対応するべきなのか、詳細な対応マニュアルを用意することが求められます。また、対応マニュアルの内容について従業員に徹底することも大切です。そうすれば、クレームストーカーの被害を防ぐことができます。

弁護士に対応してもらう

クレームストーカーに対して警察では対処してくれないケースがあります。その場合には、弁護士に対応してもらうとよいでしょう。弁護士からクレームストーカーに対して「今後一切の連絡や訪問を禁止する」と通知してもらいます。弁護士をかかわらせることによって、トラブルが大きくなるのを防ぐことができます。企業が弁護士と顧問契約を結んでいて、日頃からお世話になっている法律の専門家がいるならば、そちらを頼るとよいでしょう。

警察に通報する

クレームストーカーの行動のなかには刑法や迷惑防止条例などに抵触する行為がたくさんあります。そのような行為がみられたならば、すぐに警察に通報するとよいでしょう。ただし、そのときには、証拠を提示できるようにしておきます。クレームストーカーからの電話やメールを保存しておき、謝罪を強要してきたときにはビデオ撮影や録音などを残しておくとよいです。

もしクレームストーカーの被害にあったなら?

上司に相談する

クレームストーカーの被害に悩んだときには、すぐに上司に相談しましょう。企業は、従業員の安全を守る義務があります。上司に相談すれば、まともな企業であれば、何らかの対処をしてくれるでしょう。ただし、すべての企業がクレームストーカーから従業員を守るとは限りません。上司に相談しても、取り合ってくれない可能性もあるでしょう。そのときには、上司の上司や相談窓口などに相談するとよいです。

異動を申し出る

クレームストーカーの連絡や訪問を食い止めることが難しいならば、被害者が異動することで対処できる場合が多いです。異動して、別の部署で働くようになれば、クレームストーカーの被害を受けることはなくなります。基本的にクレームストーカーが被害者の異動先を知る方法はないからです。いつまでもクレームストーカーに悩まされるぐらいならば、異動を申し出たほうが早めに解決できます。

会社を辞める

異動による対処ができないケースがあります。異動を受けつけてもらえないこともあるでしょう。このようなケースでは、最終手段として会社を辞めるという方法があります。クレームストーカーは基本的に職場にしか現れないものです。会社を辞めてしまえば、クレームストーカーに個人情報を知られていない限りは、そこで被害が終わります。不本意かもしれませんが、最後の手段として退職するという方法があることは覚えておきましょう。

個人での対処は難しい

基本的にクレームストーカーは個人で対処することが難しいです。警察に通報しても対応してもらえない可能性があります。加害者に行為をやめるように説得しても聞き入れてもらえないことが多いでしょう。最終的には、企業を頼るしかありません。

まとめ

クレームストーカーに悩まされている人は増えています。ストーカー規制法に該当しないケースがあり対処は難しいです。企業側が真剣に対処することが求められます。

クレームストーカーの被害にあったときには、すぐに上司に相談しましょう。

ストーカー対策と調査の料金・費用相場

ストーカー対策と調査の1日あたりの相場:

約12.4万円

ストーカー対策と調査の料金・費用の割合

10万円未満 --件 (--%)
10万円~30万円未満 --件 (--%)
30万円~50万円未満 17件 (12.7%)
50万円~70万円未満 39件 (29.1%)
70万円以上 78件 (58.2%)