集団ストーカーの特徴や手口とその対策方法

集団ストーカーという言葉を知らない人がいるかもしれません。集団ストーカーとは、個人ではなく組織や集団が加害者となってストーカーをすることです。被害者が感じる恐怖は計り知れません。

そんな集団ストーカーについて、特徴や実例、対策などをご紹介します。

集団ストーカーとは?

集団ストーカーとは何なのか、基本的なことをご説明します。

複数の人たちからストーカー行為を受けること

一般的なストーカーのイメージといえば、個人が個人をターゲットにして、付きまといや尾行、嫌がらせなどをすることです。しかし、ストーカーには、複数の加害者が個人をターゲットにするというパターンも存在します。これを集団ストーカーといって、実際に被害を受けている人は世界中にいます。メディアで話題になったこともあります。

個人が加害者となるストーカーの場合は、突発的な行動に出てしまうケースが少なくありません。しかし、集団ストーカーの場合は、計画性をもって、みんなで足並みをそろえてターゲットを狙うのが特徴です。冷静にストーカー行為をして、物証を残さないようにするのも特徴です。

「ガスライティング」とも呼ばれている

集団ストーカーは「ガスライティング」と呼ばれることがあります。「ガス燈」という演劇にちなんでいます。ちなみに、「ガス燈」は1944年に映画化されていて、イングリット・バーグマン主演の人気作品です。

「ガス燈」のストーリーでは、被害者に自身の精神状態が異常であると疑うように仕向けています。奇妙なハプニングを妻に目撃させて、それを夫が勘違いや記憶違いであると主張することで、妻は疑心暗鬼になってしまうという流れです。集団ストーカーでは、上記のような手法を用いて、集団で一人の人間を精神的に追い込みます。

集団ストーカーの被害の実例

集団ストーカーは、さまざまな方法によって被害者を追い詰めようとします。一体、どういった被害の事例があるのかご紹介します。

集団でつきまとわれる

集団ストーカーは、複数人で一人のターゲットをつきまといます。多人数で尾行や監視をしているため、逃れることは難しいです。たとえ、走って逃げ出したとしても、すぐに追いつかれてしまいます。あるいは、先回りしているケースもあります。また、集団でつきまとっている姿をわざと見せつけてくることもあります。集団ストーカーの目的の多くは、精神的に追い詰めることだからです。

すれ違いざまに悪口や本人にしかわからないことを言われる

道行く知らない人にすれ違いざま悪口を言われてしまうと、最初は勘違いだと思うかもしれません。しかし、そのような出来事が何度も続くと、偶然ではないことに気がつきます。

たとえば、明らかに被害者しかわからないような個人的なことをすれ違いざまにささやかれるケースもあります。

いわれのない中傷やデマを周囲やネット上に流される

最近は、ネット上で個人がいわれのない誹謗中傷やデマを流されるケースが増えています。加害者が集団で中傷やデマを撒き散らすケースがあり、これは一種の集団ストーカーといえるでしょう。

たとえば、お笑いタレントであるスマイリーキクチ氏の件があります。スマイリーキクチ氏が、凶悪殺人事件の実行犯であるという誹謗中傷を長期間に渡って受けていた事件です。これは、ネット上で複数の加害者が個人に対して誹謗中傷したことで一斉摘発された日本で最初の事例でした。

もちろん、ネット上だけではなく、実生活で周囲にデマ情報を流されてしまうケースもあります。学校でグループがターゲットの嘘の噂を生徒たちの間に流すといった行為も、集団ストーカーの手法が使われた例といえるでしょう。

自宅の物が移動する、ポストやゴミが荒らされる

帰宅したときに、家具などの配置が変わっていることがあります。ポストが荒らされていたり、出したゴミが開封されて撒き散らされていたりするといったケースもあるでしょう。これらは集団ストーカーによる被害の可能性があります。

たとえば、ターゲットが外出した瞬間を狙い、家宅侵入して、さまざまな嫌がらせをするのです。外出中のターゲットを尾行しているものもいて、常に連携が取れているため、安全に作業できます。部屋の中にカメラやマイクなどが設置されるケースもあるでしょう。

殺人事件に発展した例もある

過去には集団ストーカーによる殺人事件が発生したケースがあります。それが桶川ストーカー殺人事件です。1999年に起きた事件であり、女子大生が元交際相手の男をリーダーとする犯人グループから嫌がらせ行為を受けて、殺害されました。この事件をきっかけとして、2000年に日本でストーカー規制法が制定されて、ストーカーによる被害の実態が注目されるようになったのです。

集団ストーカーの目的

では、集団ストーカーは、なぜ行われるのでしょうか。その目的についてご説明します。

愉快犯

単に面白がるためだけに集団ストーカーが行われるケースがあります。この場合は、被害者が怖がっていたり、慌てていたりする様子を見て楽しんでいるのです。

ターゲットが顔見知りのケースもあれば、まったく見ず知らずの他人をターゲットにしている集団ストーカーもいます。相手に対して恨みや憎しみなどがなくても、ただ楽しそうだからという理由だけでターゲットを選んで、ストーカー行為を繰り返しているのです。

社員を退職に追い込むため

職場で集団ストーカーが行われるケースがあります。これは、問題を抱えた社員やお荷物社員を退職に追い込むことが目的です。

日本は法的に労働者が守られていて、社員の首を簡単に切ることはできません。正当な理由なく退職させれば、逆に訴えられるリスクもあります。そこで、集団ストーカーによって精神的にダメージを与えて自ら退職させるのです。社員が結託して集団ストーカーするケースもあれば、外部に委託するケースもあります。

結束力強化のため

宗教団体の信者が結託して集団ストーカーをしている事例があります。これは、結束力を強化する目的で行われることが多いです。

たとえば、ある宗教団体を抜け出した人がいると、その人をターゲットにして集団ストーカーが行われます。日本では信仰を自由に変える権利は誰にでも保障されているものですが、一部の宗教団体はそれを許しません。退会したものに執拗にストーカー行為を繰り返して、それが10年以上にも及ぶというケースもあります。

利益を得るため

集団ストーカーを専門的に行っている犯罪集団がいます。復讐代行業者や嫌がらせ屋などと呼ばれることもあります。当然、違法なビジネスのため、暴力団関係者などが行っていることが多いです。探偵が副業として行っているケースもあります。依頼人から報酬を受け取って、ターゲットに対して集団で組織的にストーカー行為をします。

たとえば、昔から日本では暴力団が地上げをしていたことはよく知られています。最近では、地上げを表立ってできなくなりましたが、集団ストーカー的な行為によって地上げを試みるケースはあります。あるいは、組織を裏切ったものに対する復讐として、集団ストーカーが依頼されることもあります。

集団ストーカーの手口

集団ストーカーは、さまざまな手口を用いてターゲットを追い込んでいきます。どういった手口やテクニックが用いられるのかご紹介します。

条件付け

これはアンカリングと呼ばれることもあります。長期間、ターゲットに特定の行為を見せることによって、不安な気持ちにさせるという手口です。

たとえば、スマホを持った人物から執拗に嫌がらせを受けると、最終的にはスマホを操作している人を見ただけで、怖がるようになります。条件付けのために使用した物を見ただけで疑心暗鬼に陥ってしまうのです。

その結果、日常生活に支障が出てしまうでしょう。この場合、スマホを見ただけで逃げ出したり、叫んだりするかもしれません。そうなると、周りからは「頭のおかしい人」と見られるようになり、しだいに孤立します。

騒音

ターゲットの周りで騒音を立てて精神的に追い込むという方法があります。ノイズキャンペーンと呼ばれることもあります。

実際にターゲットの近くで騒音を執拗に鳴らすことで、ターゲットは精神的にまいってしまうでしょう。また、音響装置を使って、ターゲットの部屋の中に音を流すというパターンもあります。

ただし、騒音については、ターゲット以外の人にも聞こえる可能性があります。また、録音すれば証拠を残すことができるため、冷静に対処すれば警察を頼ることもできるでしょう。

衝突

こちらはコリジョンキャンペーンと呼ばれる手口です。通行人や自転車、バイクなどがターゲットの行く手を阻む、あるいはギリギリまで接近するといった行為によって、ターゲットの邪魔をします。これらは日常生活でも起きることですが、発生頻度が多くなれば、ターゲットには大きなストレスとなるでしょう。それを友人や家族などに相談しても、よくあることのため、ただの被害妄想とみなされる可能性が高いです。最終的には、ターゲットは精神病ではないかと周りの人達から疑われるようになります。

ほのめかし

本人にしか分からない個人情報や過去の言動、行動などを活用して心理工作するケースがあります。たとえば、盗聴して自室内での独り言の内容を確認して、それを当人との会話などの中でほのめかすのです。ほのめかし工作が続くと、ターゲットは盗聴されているのではないかと疑心暗鬼になります。ただし、この場合は、冷静に考えれば盗聴器などが自室に設置されているのは明らかであり、それを見つけることができれば重要な証拠となります。

マインド・ゲーム

たとえば、ターゲットの自室の物をほんの少し移動させます。それを見たターゲットは、違和感があるのですが、自分の記憶違いであると判断するでしょう。これが何度も繰り返されると、ターゲットは自分の記憶が正しいのか自信を持てなくなり不安になります。最終的には、自分を含めてすべてのものを疑うようになり、精神が破壊されるのです。

住宅に侵入して、物を動かしたり隠したりすることで、マインド・ゲームが行われることが多いです。したがって、不法侵入の証拠を得ることができれば対処は可能です。

集団ストーカーは妄想?

集団ストーカーと聞くと妄想ではないかと考える人がいるかもしれません。集団ストーカーを妄想してしまうケースについてご紹介します。

被害妄想であるケースも多い

実際に集団ストーカーの被害を受けている人は存在するのですが、なかには被害妄想で集団ストーカーに狙われていると思いこんでいる人もいます。謎の大きな組織によって自分が監視されている、狙われていると考えてしまうのです。街を歩いていると他人の視線を感じる、敵意を向けられていると思ってしまい、それが集団ストーカーによるものと決めつけます。

街に出れば、たくさんの人がいるため、視線を感じることはよくあるでしょう。誰かにぶつかることや睨まれること、笑われることなど、絶対にないとは言い切れません。単なる偶然に起きた出来事を集団ストーカーと関連づけて被害妄想するケースがあるのです。

思い込みにより妄想が悪化していく

いきなり集団ストーカーの被害を妄想するわけではありません。最初は、何となく自分が街で笑われているのではないか、周囲に人が集まっているのではないかなどと思います。しだいに、自分の周りに起きることは、故意に起きているのではないかと考えて、集団ストーカーによるものだと断定するのです。

そして、妄想はより激しい方向へ進み悪化していきます。たとえば、集団ストーカーの加害者が大きな組織だと考える場合があります。国が自分を狙っているかもしれない、国際的なテロ組織に自分は標的にされているかもしれないなどと発想します。自分は電波攻撃を受けていると思いこむケースもよくあります。荒唐無稽で現実離れした妄想をするケースが多く、周囲から眉をひそめられてしまい、みんなが離れていき孤立していきます。

まともな社会生活が送れなくなる

被害妄想によって集団ストーカーの被害を受けていると考える人は、周りに被害を訴えるケースが多いです。場合によっては、周りの人をすべて敵だと認識することもあります。家族や親友ですら信用できなくなり、自宅に引きこもってしまうことさえあるのです。周りとの関係がこじれてしまうと、誰も救いの手を差し伸べてくれなくなります。こうなると社会生活をまともに送ることができなくなり、復帰も難しくなるでしょう。

統合失調症の患者に多い

統合失調症の症状のひとつに妄想があります。統合失調症は、その人の人格そのものが影響を受けてしまう精神疾患です。幻覚や妄想といった陽性症状、あるいは感情鈍麻や自発性の減退といった陰性症状を示します。酷い症状では、人格崩壊するケースもあるのですが、ほとんどのケースでは治療できる可能性はあります。たとえ、集団ストーカーのような被害妄想をしたとしても、治療することはできるため、医療機関で診断を受けることが大切です。

統合失調症では幻覚を感じることがあり、これを説明するために被害妄想を形成すると考えられます。したがって、統合失調症の人が幻覚を見た結果として集団ストーカーの被害を訴えるのは、仕方のないことです。本人にとっては、現実に起きたことと認識されています。周囲は妄想を否定するのではなく、専門家に診てもらうように促すことが重要です。

主に10代から30代で発症することが多く、有病率は1%程度とされています。そのため、珍しい病気ではなく、誰でもなる可能性があると考えるべきでしょう。さまざまな症状の型が存在していて、妄想型のほかには、緊張型や解体型、単純型といったものがあります。

集団ストーカーへの対策

集団ストーカーに早く対処しなければ、被害が大きくなり、心身ともに疲弊します。そこで、どういった対策方法があるのか具体的にご紹介します。

証拠を集めることが大切

集団ストーカーへの対策は、普通のストーカーによる被害のケースと基本的な部分は同じです。仮に警察や弁護士を頼る場合は、証拠を用意しなければいけません。証拠もなく集団ストーカーの被害を訴えたとしても、被害妄想とみなされる可能性があるため注意しましょう。たとえば、ほのめかしの言葉をかけられたならば、それを録音しておきましょう。嫌がらせを受けた場合は、それを写真や動画で撮影しておくとよいです。家のものが動かされるなどの被害は、監視カメラなどを設置して対処するという方法があります。

探偵や興信所に相談する

普通のストーカーの場合とは異なり、集団ストーカーは手口が巧妙なため、個人で証拠をつかむことはなかなか難しいです。そこで、探偵や興信所に依頼して、証拠集めを任せるという方法があります。実際に集団ストーカーの被害を受けているならば、プロの探偵に頼めば、証拠を見つけてくれるでしょう。ある程度お金がかかってしまうのですが、この先、集団ストーカーによる被害を受け続けることを考えれば納得できるでしょう。

警察に相談する

証拠を集めることができた場合は警察に相談するとよいでしょう。また、物を壊されたり、直接暴力を振るわれたりした場合は、警察に通報すればすぐに動いてくれます。最近は、警察のほうでも真剣にストーカー被害への対策を進めるようになりました。証拠がなかったとしても、警察に相談すれば、対処してくれる可能性はあります。

病院へ行く

集団ストーカーを受けているけれども、証拠がなくて悩んでいる人がいるかもしれません。この場合は、証拠をつかめないのではなく、証拠がない可能性があります。つまり、集団ストーカーの被害はすべて妄想だったというケースです。自分で被害妄想に気がつくことはなかなか難しいですが、少しでも妄想の可能性を疑うならば、病院へ行くとよいでしょう。また、実際に集団ストーカーの被害を受けていて、精神的に疲弊してしまい、精神疾患になる可能性もあります。不安や悩み、ストレスを抱えているならば、病院で診断を受けることは重要です。

まとめ

集団ストーカーの被害を受けると、不特定多数の人から狙われることになり、大きな恐怖とストレスに悩まされます。被害妄想から集団ストーカーの被害を受けていると感じるケースもあり、こちらもきちんと対処することが必要です。集団ストーカーへの理解を深めて、適切な対処をしましょう。

ストーカー対策と調査の料金・費用相場

ストーカー対策と調査の1日あたりの相場:

約12.4万円

ストーカー対策と調査の料金・費用の割合

10万円未満 --件 (--%)
10万円~30万円未満 --件 (--%)
30万円~50万円未満 17件 (12.7%)
50万円~70万円未満 39件 (29.1%)
70万円以上 78件 (58.2%)