近所での不審者から小学生の子供を守るための対策
保護者にとって気がかりなのは、小学生の子供が不審者に遭遇しても自分の身を守ることができるのか、ではないでしょうか。
小学生の子供に「怪しい人に声をかけられても着いて行っちゃダメよ」と言っても、怪しい人がどんな人なのかを具体的に示せず、子供に的確な対策を伝えられないことに悩まれる保護者も多いでしょう。
そこで、近所での不審者から小学生の子供を守るための対策や正しく伝える方法などをご紹介します。
不審者による行為は声かけが全体の3割以上
千葉県警察では令和元年に発生した13歳未満の約1,000件の不審者情報を分析し、千葉県警察のホームページに掲載しています。
分析結果によると、不審者の行為で全体の3割以上を占めているのは「声かけ」で33.1%、次いで多いのが「つきまとい」で16.1%となっています。
また、不審者による被害時の人数は、小学生の子供が複数でいるときは35.4%、単独でいるときは64.6%となっています。
不審者は一人の小学生を狙って、「声かけ」をしていることが多いとこのデータから読み取れます。
小学生は親から離れてひとりで行動することが増えはじめる時期です。一人で行動させることで不審者に狙われる率が高まるため、なるべくひとりにさせないようにすることが大切です。
参考)千葉県警察:「不審者情報の分析結果(令和元年中)」
保護者による小学生の子供への安全教育の落とし穴
小学生の子供が被害者にならないためには保護者による安全教育が必須です。しかし、保護者のなかには誤った情報を子供に伝えていたり、上手に伝えられなかったりするケースも少なくありません。
ここでは、保護者による小学生の子供に対する安全教育の落とし穴をご紹介します。
小学生の子供は不審者を見分けられない
小学生の子供は不審者を正しく見分けることができません。不審者にはさまざまなタイプがおり、大人でも外見だけで不審者かどうかを判断するのは難しいものです。ましてや、小学生の子供が前から歩いてくる大人が不審者かどうかを瞬時に判断するのは非常に困難なことでしょう。
不審者の具体的な特徴が分からず、子供に的確な情報を伝えられないと悩む保護者も少なくありません。
近所で人が多い場所が安全は間違い
小学生の子供が単独でいるときに被害に遭いやすいことは、上記の千葉県警察の分析結果からも分かっています。そのため、人が多い場所なら安全だと思われがちです。
しかし、不審者は子供が多く集まる場所に狙いを定めるケースも少なくありません。あえて人通りが少ない場所ではなく、人が多く集まり明るい場所を狙う不審者もいるのです。
人が多くいる場所で、一人でいる子供に声かけしても、逆に目につかないという場合もあります。近所で人が多い場所が安全とは言い切れないのです。
公園によくいる、話しかけてくるおじさん、おばさんを良い人だと思わない
2017年に千葉県松戸市で小学3年生の女児が殺害された事件で、小学校の保護者会長が逮捕されました。
この事件からも分かる通り、地域や近所にいる顔見知りの大人でも加害者になりかねないのです。そのため、近所の公園によくいて、話しかけてくるおじさんやおばさんが良い人だとは言い切れません。保護者はあらゆる想定をした上で、小学生の子供に正しい情報を伝えないといけないのです。
近所での不審者から小学生の子供を守るための対策
小学生の子供を不審者から守るためにはどのような対策をすればいいのでしょうか。
ここでは、近所での不審者から小学生の子供を守るための対策についてご紹介します。
小学生の子供に防犯グッズを持たせる
すぐに実践できる対策としておすすめなのは、小学生の子供に防犯ブザーやGPSで居場所を探索できるキッズ携帯などの防犯グッズを持たせることです。
不審者は小学生の子供に大きな声をあげられると周囲の大人に気付かれることを恐れて逃げるケースも少なくありません。しかし、低学年の子供や恐怖で大声をあげられない子供がいます。そんなときに有効なのが大きな音を出す防犯グッズです。
子供が大声を上げられない場合でも、すぐに周囲にいる大人に危険を知らせることができるでしょう。
小学生の子供を一人にしない
小学生の子供を不審者から守るためには、なるべく一人にしないことです。
塾や習い事、友達の家に遊びに行くときの送り迎えは保護者がするようにしましょう。共働きで難しい場合は、一人で出歩かずに自宅に友達を呼んだり、友達と一緒に行動したりすることを促すと良いでしょう。
不審者情報を随時チェックしておく
各自治体のホームページには不審者が出没した日時や場所、外見の特徴、子供への接触の仕方などの不審者情報が掲載されているため、随時チェックしておきましょう。近所や小学生の子供が行きそうな場所で不審者が出没していないか確認しておくだけで、不審者と遭遇するリスクを減らすことができるでしょう。
夕方以降は、携帯電話で通話しながら帰宅させる
小学生の子供が夕方以降に帰宅する場合は、携帯電話で通話しながら帰宅させるようにしましょう。
通話中であれば子供の居場所や状況をいち早くつかむことができます。万が一、子供が不審者に遭遇しても対応の仕方を指示でき、子供がいる場所へすぐに迎えに行けます。また、冬場は夕方の5時でも暗くなるのが早いため、暗くなる前に帰宅するように子供と約束しておくのも良いでしょう。
近所での不審者対策を小学生の子供に正しく伝える方法
保護者は、近所で不審者に遭遇したときの対策を小学生の子供に正しく伝えるにはどうすればいいのでしょうか。
ここでは小学生の子供でも覚えやすい、理解しやすい伝え方をご紹介します。
「いかのおすし」で危険を避けよう
保護者や小学生の子供のなかには「いかのおすし」という言葉を聞いたことがある子もいるかもしれません。「いかのおすし」とは、小学生の子供が不審者に遭遇したときの対策をあいうえお作文のように表した合言葉のことを言います。
「いかのおすし」という変哲もない言葉には、どのような意味が隠されているのでしょうか。さっそく、確認してみましょう。
- いか:知らない人について「行かない」
- の:知らない人の車に「乗らない」
- お:助けてと「大声」で叫ぶ、防犯ブザーを鳴らす
- す:人のいる場所へ「すぐに逃げる」
- し:周りの人へすぐに「知らせる」
「いかのおすし」を小学生の子供に覚えさせ、自らの身を守る方法を教えてあげましょう。
近所で危険な場所は「ひまわり」
具体的にどのような場所が危険なのかを小学生の子供に伝えるには「ひまわり」を覚えさせると良いでしょう。
- ひ:「一人ぼっち」になる場所
- ま:「周りの人から見えづらい」場所
- わ:「分かれ道や裏通り」がある場所
- り:「利用されていない」空き家や空き地のある場所
このように、周囲に人気がなく、小学生の子供が一人きりになる条件がそろった場所は不審者が犯行に及ぶ可能性が高まります。あらかじめ危険な場所を子供に教えておくことも大切ですが、子供が自分で危険な場所を避けられる術を伝えておくほうがよりリスクを避けられるでしょう。
「はちみつじまん」は怪しい人と覚えよう
安全教育の落とし穴でもお伝えしたように、小学生の子供は不審者を見分けられない場合がほとんどです。そこで、子供の安全研究活動を行っている「ステップ総合研究所」が考案した不審者を見分けるための合言葉「はちみつじまん」をご紹介します。
「はちみつじまん」とは、小学生の子供が不審者かどうかを見極める指標として分かりやすい言葉にしたものです。
- は:話しかけてくる
- ち:近づいてくる
- み:見つめてくる
- つ:ついてくる
- じま:じっと待っている
- ん:「ん?」と注意する
知らない人がしつこく話しかけてくる、距離を縮めて近づいてくる人、じっと見つめてくる人、いつまでも後をついてくる人、じっとこちらの様子を見て待ち構えている人に遭遇した場合は、「んっ?」と疑い、不審者に近づかないよう子供に注意させましょう。
参考)ステップ総合研究所:「子どもの安全研究活動~犯罪及び地震からの子どもの安全~」
近所にある避難場所を小学生の子供と確認しておく
小学生の子供が塾や習い事、友達の家に遊びに行くときに備え、子供と一緒に近所にある避難場所を確認しておきましょう。一般的には、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど必ず人がいる場所がおすすめですが、近くにお店がない場合も考えられます。
近くに避難できるお店がない場合は、信頼できる近所の人の家や「子ども110番の家」に逃げるよう教えておくと良いでしょう。「子ども110番の家」とは、子供の安全を守ろうという地域の取り組みの一つです。取り組みに参加しているコンビニエンスストアや郵便局、ガソリンスタンド、民家の外にはステッカーが貼られています。
子供の安全対策のために、自治体ではどのような取り組みがされているのかを子供と一緒に確認しておくのも良い安全対策になるでしょう。
近所で不審者を見かけたら警察に通報しよう
近所で不審者を見かけたときは、警察に通報するようにしましょう。警察に通報することで、警察や自治体のパトロール体制が強化されたり、不審者情報として発信されたりします。
不審者が出たとなれば、不審者も警察や周囲の人の存在に警戒して子供の前に現れるのを避けるようになるでしょう。また、自身の子供を守るのと同時に同じ地域に住む子供や保護者への注意喚起にもつなげることができるのです。
警察に通報する際は、具体的な状況や不審者の特徴を伝えると良いでしょう。以下に示す質問に対する回答を用意しておくことをおすすめします。
- 何があったのか?
- 時間や場所は?
- 不審者の外見は?(服装や髪形、身長、体の大きさ、性別、年齢)
- 不審者の乗り物の種類やナンバー、色は?(車やバイク、自転車など)
- 不審者が逃げ去った方向は?
子供の年齢によって聞き出せる情報は異なるでしょうが、まずは保護者や子供の安全を確保する大人がやさしく寄り添い、「もう安全だから大丈夫だよ」と安心させてあげることが大切です。落ち着いてから少しずつ不審者に関する情報を聞くようにしましょう。