依頼者の秘密は守られる?探偵の守秘義務とは

秘密保持

探偵事務所に調査を依頼したいけど、今まで利用した経験がないと、「調査依頼した秘密が漏れるのでは…?」「もしかしたら、悪徳探偵事務所で秘密を握られて脅される可能性があるのかも…」と、不安に感じる人もいるでしょう。

探偵事務所はコンビニのように身近なものではないので、不安で依頼をためらってしまっても不思議ではありません。ですが、探偵事務所に調査を依頼すれば、あなたの困り事が解決する可能性が高いなら、利用するのも一つの手段です。

ここでは、利用者の不安のひとつでもある「秘密は守られるのか」について、探偵事務所の守秘義務について詳しく解説します。探偵事務所はどのように秘密が漏れない体制をとっているのか、万が一守秘義務を破ったらどうなるかにも触れています。

探偵事務所に守秘義務はある?

探偵に特別な資格はありませんが、探偵事務所は「探偵業の業務の適正化に関する法律」によって、開業方法や業務内容について、細かく定められています。

もちろん、この法律には守秘義務についての項目もあります。「探偵業の業務の適正化に関する法律」では、探偵事務所の秘密保持等について、次のような守秘義務が課せられているのです。

以下引用

(秘密の保持等)
第十条 探偵業者の業務に従事する者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。探偵業者の業務に従事する者でなくなった後においても、同様とする。

2 探偵業者は、探偵業務に関して作成し、又は取得した文書、写真その他の資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。)について、その不正又は不当な利用を防止するため必要な措置をとらなければならない。

出展: 「探偵業の業務の適正化に関する法律」

「探偵事務所に守秘義務があっても、自分の調査を担当した探偵がやめてしまえば、その人から秘密が漏れるのではないか…」という心配もあるでしょう。しかし、「探偵業者の業務に従事する者でなくなった後においても、同様とする。」という記載の通り、探偵事務所が業務として調査した内容は、例え探偵を退職しても、探偵事務所が廃業しても、守秘義務は継続します。

更には、調査した内容をまとめた書面や写真、動画などのデータについては、依頼者のプライバシーを侵害しないように、探偵事務所は秘密が漏れないよう管理する義務があります。

そして、探偵事務所の守秘義務については、必ず依頼者に説明する義務も「探偵業の業務の適正化に関する法律」によって定められています。

守秘義務を厳守し、探偵事務所の業務を法に則ってきちんと行っている探偵事務所は、依頼前に必ず調査内容に秘密保持について、丁寧な説明があるはずです。もちろん信頼できる探偵事務所では、依頼になった場合に交わす契約書に、守秘義務についての記載もあります。

探偵事務所の守秘義務の具体的事例を紹介

「探偵業の業務の適正化に関する法律」では、秘密の保持の義務についての記載はありますが、手段についての詳細はありません。そこで、探偵事務所が行う守秘義務の具体的事例をいくつか紹介します。

  • 退職後も適用されることが明記された機密保持契約書に、全社員が署名捺印したものを契約者に提出する。
  • 依頼された調査内容は、原則契約満了後はすべて完全に破棄することを、契約書に明記する。
  • 探偵事務所でデータ保存に使用するパソコンは、パスワードなどで徹底管理し、調査後は完全消去する。
  • 調査報告書や写真など紙媒体の情報は、調査後シュレッダーなどで探偵事務所の責任の元、完全破棄する。
  • 大手探偵事務所ではプライバシーマークを取得して、依頼者の信頼を得ているところもある。

調査内容の管理方法は探偵事務所によって違います。信頼できる探偵事務所に依頼したい場合は、契約前に次のことを確認すると良いでしょう。

  • 契約時に秘密保持について詳しい説明があるか
  • 契約書に守秘義務について記載されているか
  • 調査内容の取扱いについて契約書に記載されているか
  • 今後探偵事務所を辞める人にも守秘義務が課せられているか
  • 具体的にどのような方法で調査内容を管理しているか
  • 今まで情報漏洩がなかったか

依頼者の立場で物事を考え、しっかり法律を守って守秘義務を徹底している探偵事務所を見極めるには、受け身にならずあなたから不明点や不安なことを質問して、しっかり確認するのが大切です。

探偵事務所が守秘義務を破ったらどうなる?

「探偵事務所の守秘義務って、結局努力義務なんじゃないの?」と思う人もいるでしょう。「探偵業の業務の適正化に関する法律」の第十五条には、以下のように記載されています。

以下引用

第十五条 公安委員会は、探偵業者等がこの法律若しくは探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるとき、又は前条の規定による指示に違反したときは、当該探偵業者に対し、当該営業所における探偵業について、六月以内の期間を定めて、その全部又は一部の停止を命ずることができる。

出展: 「探偵業の業務の適正化に関する法律」

探偵事務所には守秘義務がありますが、情報を流出した場合、第十五条に該当すると考えられます。情報管理に致命的欠陥があったり、故意に情報漏洩したりした場合、「探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められる」とされると、探偵事務所は6カ月以内の期間で完全営業停止、もしくは一部営業停止になりえるのです。

また、守秘義務の厳守は、探偵事務所の信用を左右する大きな問題です。万が一、依頼内容の情報が外に漏れた場合、探偵事務所は依頼人からの信用を失います。依頼件数も激減し、経営が困難になるかもしれません。

探偵事務所にとって守秘義務は信用を左右する絶対守るべきことです

探偵事務所にとって守秘義務とは、依頼人のためだけではなく、自社の営業を円滑に続けるためにも、絶対守るべき項目です。法に則って経営し、依頼人に寄り添って仕事をしている探偵事務所ならば、守秘義務については特に力を入れて体制を整えています。

あなたが依頼人になる場合も、秘密の保持について探偵事務所が徹底管理しているかどうかは、トラブルを回避するためにも絶対確認すべき必須内容です。

初めて探偵事務所を利用する際は、わからないことが多いでしょうが、だからこそ探偵事務所には小さな不明点も質問して、納得できる説明を受けた上で依頼するようにしましょう。