探偵事務所とは?仕事内容と依頼するメリット

探偵

ドラマや小説にはたびたび登場する探偵事務所ですが、実際に利用した経験のある人は少ないでしょう。

「探偵」と聞くと、事件を解決する推理をするイメージがありますが、実際の大抵事務所の仕事内容は多岐にわたります。

今回は、日本の探偵事務所とはどんな役割があるのか、仕事内容も一緒に解説し、探偵事務所に依頼するメリットについてもお話しします。

探偵事務所とは?

探偵になるための資格は存在しません。医師や弁護士のように、特別な試験を受けなければなれないものではありません。

しかし、仕事として探偵業を始める場合は、書類提出など、法で決められた手続きをする必要があります。必要書類を取り寄せ、警察署を経由して届け出を提出し、公安委員会からの許可を得て、初めて「探偵事務所」と名称することができるのです。

また、探偵業に資格はないため基本的に誰でもなれる職業ですが、悪意を持った人や犯罪に関わりのある人が探偵にならないよう、「探偵業の業務の適正化に関する法律」によって、探偵業を営んではならない人について、以下のように定められています。

以下引用

第三条 欠格事由 次の各号のいずれかに該当する者は、探偵業を営んではならない。
1.成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者

2.禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者

3.最近五年間に第十五条の規定による処分に違反した者

4.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者

5.営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年でその法定代理人が全各号のいずれかに該当する者

6.法人でその役員のうちに第一号から第四号までのいずれかに該当する者があるもの

引用元: 警視庁「探偵業の業務の適正化に関する法律等の概要」

その他、「探偵業の業務の適正化に関する法律」では、探偵事務所が依頼人に説明しなければならない必須事項や、探偵業務を行う上での規制事項、秘密保持や従業者の教育や罰則など、細かく定められています。

探偵事務所とは、探偵が自分の采配で行う自由業ではなく、日本の法律に則り、業務内容が定められている職業なのです。

探偵事務所の仕事内容

探偵事務所は日本の法律に則って業務をしていますが、具体的にはどのような仕事内容なのでしょうか。依頼の多い仕事内容を中心に解説します。

浮気調査を含む素行調査

素行調査とは、対象者がどのような行動をしているのかを調査してまとめる業務です。中でも依頼件数が多いのは、浮気の素行調査になります。パートナーの浮気を疑った依頼者が、慰謝料請求や離婚を有利に運ぶために、探偵事務所に依頼するケースが多いです。

浮気の素行調査の場合、浮気の現場を写真に収めるなどして、証拠保全するのも探偵事務所の仕事になります。

身元調査

身元調査とは、対象者の成育歴、経歴や人間関係などを調査してまとめる業務です。ただし、資産や貯金額など、お金に関わる調査は含みません。

身元調査で多いのは、企業が依頼するビジネスを目的とした調査や、反社会手段とのかかわりの有無の調査、結婚を決める前に相手に前科や隠し事がないかを目的とした調査などがあります。

盗聴器や盗撮器の調査

盗聴器や盗撮器の調査も、探偵事務所の仕事内容の1つです。盗聴器や盗撮器の電波を感知する調査機材と、長年のプロの技術で、一般の人には発見困難なものでも探し当てます。依頼者は個人だけではなく、病院や企業、銀行、芸能プロダクション、官公庁などからもあります。

ストーカー対策

ストーカー規制法により、警察の介入が可能となりましたが、ストーカーされている証拠がなければ、なかなか動いてくれないのが実用です。探偵事務所が行うストーカー対策とは、対象者の身元調査や盗聴器、盗撮器の調査などを行い、ストーカーされている証拠を集めるのが主な仕事内容です。

人探し(所在調査)

人探しも探偵事務所の仕事内容の1つです。依頼者の情報提供を元に、所在踏査を行います。人探しと聞くと、家出や行方不明者をイメージするかもしれませんが、次のようなケースも人探しに含まれます。

  • 知人の引っ越し先を知りたい
  • 配偶者の浮気相手の住所や勤め先を知りたい
  • 訴えたい相手がいるが住所がわからない
  • 付き合っているのに相手が住所や勤め先などを教えてくれない

人探しは状況によって困難さが変わります。家出人や行方不明者の場合、聞き込みや張り込みなど手間と時間がかかるため、料金が高額になります。

企業等の信用調査

取引相手として信用できるか、企業からの依頼が多いのが信用調査です。本当に取引をして安全なのか、取引後のトラブルを防ぐのが目的です。決算報告書など財務状況の調査の他、役員等重役の身辺調査を行うこともあります。

その他調査、各種相談等

探偵事務所の仕事内容は、尾行、張り込み、聞き込みなどを行いながら、さまざまな調査に対応しています。「探偵業の業務の適正化に関する法律」の禁止事項に該当しない業務に対してどこまで対応するかは、探偵事務所によって違います。「この仕事内容は、依頼できるだろうか」と悩んだときは、直接探偵事務所に問い合わせをしてみましょう。

探偵事務所に依頼できない仕事内容はある?

自分だけでは調査不可能なことを、独自の技術で行ってくれる探偵事務所ですが、何でも依頼できるわけではありません。探偵事務所は法で定められた枠を超えた仕事はできないのです。

具体的には、次のような仕事内容は探偵事務所に依頼できません。

  • 差別につながる行為
  • 犯罪に加担する可能性のある行為
  • 非弁行為
  • その他違法性のある調査、行為

例えば、離婚を有利にするための証拠集めは依頼できますが、復讐するために必要な情報を集めてもらうことはできません。犯罪ほう助になりうる可能性がある業務は、当然ながら禁止されています。

探偵事務所に依頼する6つのメリット

個人だけではなく、企業や法人も探偵事務所に調査や協力を依頼するのは、いくつもメリットがあるからです。そこで、探偵事務所に依頼するメリットについて解説します。

守秘義務があるため誰にも知られず調査できる

「自分が探偵事務所に調査を依頼しているってバレたらどうしよう…」という心配があるかもしれませんが、「探偵業の業務の適正化に関する法律」により、探偵事務所には守秘義務があります。業務上で獲得した情報は、依頼人以外に提供してはならないのです。もちろん、探偵事務所では調査内容が漏洩しないように、しっかりとした対策がとられています。

自力で調査すると、どうしても自分で動くことになるため、どこかであなたの行動が目撃されて「何かを調べている」と相手にバレる恐れがあります。しかし、探偵事務所に依頼すれば、後はすべて探偵事務所が調査してくれるので、あなたが誰かを調べていると、バレるリスクは殆どありません。

プロの技術で自分ではできない調査をしてもらえる

探偵には特に資格はありませんが、探偵事務所は探偵に必要な独自技術を持っていて、個人では購入が難しい高額な機材などを使って調査をします。あなただけではできない調査を、プロの技術で行ってくれるのは、探偵事務所に依頼する大きなメリットです。

また、探偵事務所には「探偵業の業務の適正化に関する法律」で定められた通り、探偵業務を適正に実施するために必要な人材教育を行う義務があるため、探偵育成に熱心です。資格はありませんが、探偵技術を学ぶスクールから探偵事務所に就職する人も多いので、自分で調査するよりもずっと、質の高い調査をしてもらえます。

長時間の調査ができる

自分で調査する場合、あなたにも生活があるため、24時間長期間体制での調査は不可能です。しかし、探偵事務所に調査を依頼すれば、チームで仕事を行うため、長時間の調査も可能になります。

長時間の張り込みなど、手間と時間がかかる調査の場合、対費用効果を考えて探偵事務所に仕事を依頼するメリットは大きいです。

警察が介入できない問題を調査できる

身の危険を感じたとき、警察に駆け込んだとしても、まだ事件が起きていない状況だと、刑事事件ではないので警察は介入できません。しかし、探偵事務所には刑事事件のくくりはないため、あなたの身を守るための、さまざまな調査を依頼することが可能です。

探偵事務所には犯人を逮捕する権利はありませんが、警察を動かすための情報を集めることはできるのです。探偵事務所の調査業務は、刑事、民事を問いません。

自分が有利になる証拠を掴める

探偵事務所の尾行、張り込み、聞き込み当の調査技術はとても優れています。あなただけで調査するよりもずっと、自分が有利になる証拠を掴める可能性は高いです。確固たる証拠を掴むため、証拠写真や動画をどのように撮れば良いか、素行調査をどのような報告書の形式でまとめるかなど、高い技術を有しています。

探偵事務所によっては、ホームページで報告書の形式を掲載しているところもあります。依頼者が有利になるよう、探偵事務所はさまざまな工夫をしているのです。

肉体的精神的疲労が少ない

証拠集めや情報収集は、肉体的精神的疲労がとても強いですが、探偵事務所に依頼すれば、後は待っているだけで良くなります。あなたの生活を守りながら、必要な調査を行えるのは、とても大きなメリットです。

また、探偵事務所を通して調査することで、衝撃的な事実に直面したときも、あなた1人で調査して秘密を自分だけで抱えるよりも、精神的負担が少なくなります。探偵事務所は当然修羅場も多く経験していますから、依頼人の心理的負担を軽減するスキルも身に着けています。

1人で解決できないときは探偵事務所を検討してみよう

探偵事務所を使うデメリットは、やはり費用がかかることです。また、探偵事務所は敷居が高く、コンビニのように誰もが利用する場所ではないため、「探偵事務所を利用した」という事実を非難する人がいるかもしれません。

しかし、調査結果によってあなたの人生が大きく好転するならば、出費は必要経費だという考え方もできます。1人で問題解決が難しいときは、探偵事務所に調査を協力する選択肢を検討してみましょう。

同じ調査内容でも、状況によって金額は変わるので、探偵事務所の利用を検討したときは、まずは無料見積の相談をすると良いでしょう。